ビジネスにおいて、売上を上げることと同時に考えたいのが、コストを削減し、利益率を向上させることです。経費は大きく固定費と変動費に分かれ、どちらも業務改善により削減することが可能です。しかし、実際に削減する上では、経費削減の施策や考え方を理解しておくことが重要です。
この記事では、コスト削減の方法を詳しく解説します。コスト削減の具体的方法や、避けるべき施策、適切に進めるための方法、取り組むときのポイントを順番に紹介します。
1.コスト削減の方法
まずは担当者が把握しておきたい、コスト削減に取り組むときに避けるべき施策コスト削減の具体的な方法を確認していきましょう。
1-1.人件費を削減する
まずは企業の費用において大きな割合を占める、人件費削減から考えていきましょう。人件費というと給与だけのように思いますが、それ以外にも社会保険料や交通費、出張費など副次的なコストもあります。人件費削減といっても、単にリストラで人員削減したり、残業禁止にして残業代を減らしたりするだけでは大きな効果を生み出すのは難しいといえます。まずはコア業務を効率化し、少ない人的コストで、より高い効果を生み出す体制をつくりましょう。
例えば、製造業などであれば、現場に設備やシステムを投資することで、人が行っていた作業を自動化できることも考えられます。多くの場合、これらの投資は多額になりますが、作業の効率化により長期的なコスト削減が見込めます。補助金を利用できる場合もあるため、積極的に導入事例を学び、検討するのが良いでしょう。
人件費の削減方法については、以下の関連記事もあわせてチェックしてみてください。
人件費削減の方法は?メリットやリスク、適切に取り組むためのポイント
1-2.ペーパーレス化を実施する
ペーパーレス化は、コストを削減しながら作業効率を上げる良い手法です。会議資料や書類を紙で共有すると、コピー用紙やインク代、複合機購入などの印刷コスト、文書保管スペースにかかるコストや手間が発生します。また、資料を探すのに時間がかかり、営業活動がスムーズにいかない場面も出てきてしまいます。そのため、全社においてペーパーレス化を推進し、コスト削減と効率化を進めることは重要です。
ペーパーレス化については「【2024年】文書管理システムおすすめ23選!選び方・メリットを徹底解説」もご覧ください。
1-3.広告費を見直す
広告を出稿する場合、費用対効果は常に意識しましょう。出稿した広告に対する消費者からの反響を数値化し、広告媒体や手法が自社のサービス・顧客に合っているかを分析します。分析の結果、費用対効果が見合わない掲載媒体やプランは、見直すのが良いでしょう。
また、広告作成をすべて代理店に外注すると費用がかさみます。自社で広告を作成したり、SNSなど無料で利用できる広告ツールを使ったりするとコストを抑えられます。広告のターゲットや目的に合わせて、複数種類の広告ツールを使うのが効果的です。
1-4.テレワークの導入を検討する
新型コロナウイルス感染症の流行及び働き方改革により、テレワークを導入する企業が増加しました。テレワークの導入にはシステム利用料などがかかりますが、うまくいけば出社する従業員の数を抑え、通勤交通費やオフィス賃料・水道光熱費の削減につなげることができます。
1-5.オフィスにかかるコストを見直す
オフィスにかかるコスト(賃料や電気代など)は、固定費として削減すれば効果が高い項目です。なかでも、電話料金やインターネット料金などの通信費は、通信会社によってさまざまなプランが出ており、見直すことで毎月のコストを削減できます。社用携帯の契約プランを見直す、社用携帯の配布範囲を見直すなどを検討しましょう。
また、PCやOA機器は、リースやレンタルを活用すると初期費用やメンテナンス費用を抑える効果が期待できます。リースやレンタルは最新の機器を取り入れやすく、古い機器と比べて電力消費も抑えられます。ただし、機器の使用期間や台数によっては、リースやレンタルをするより購入したほうが安くなる場合もあるため、比較検討しましょう。
2.コスト削減に取り組むときに避けるべき施策
経費削減する上での注意点として、社員のモチベーション・生産性・サービス品質の低下を引き起こす場合もあることが挙げられます。ここでは、コスト削減において避けるべき施策を紹介します。
2-1.従業員のモチベーション低下につながる施策
人件費は検討すべきコスト要素だと前述しました。しかし、社員のモチベーションに与える影響が大きいことから、安易なコスト削減は危険です。例えば、給与(賞与含む)や福利厚生(通勤手当、家賃補助、休暇制度など)はモチベーションに与える影響が大きいため、削減するのは望ましくありません。社員の生産性が低下したり、優秀な人材の離職にも影響したりする可能性があります。過度な人員削減も、残された従業員の業務負担が増加し、離職の増加につながる場合があります。
一方、無駄なポスト・無駄な残業は不要です。ポストの適切な配置・業務効率化により、条件面を変えずに少ない労力で成果を出せる体制を作りましょう。
2-2.生産性の低下を招くおそれのある施策
業務効率の低下や生産性の低下につながる可能性があるコスト削減も避けましょう。
例えば、PCデバイスやITツールのスペックを落とすと、業務効率の悪化を引き起こす可能性があります。また、従業員の育成や研究開発費用を削減すると、企業で有望な人材や商品が育たなくなる可能性があります。
2-3.問い合わせに対する感謝の気持ちを伝える
クレームを寄せていただいたお客様に感謝し、直接気持ちを伝えましょう。クレーム対応ではお客様に謝罪することになりますが、同時に業務改善のヒントを与えてもらっているからです。一般的に製品やサービスに不満を感じてクレームを入れるお客様はごく一部であり、時間とエネルギーを使いクレームを寄せてくれている方々は貴重な存在なのです。
そのため、クレーム対応が終わるタイミングで謝意を表すと良いでしょう。このような前向きな姿勢を示すことで、クレームを入れたお客様がリピーターになってくれる場合もあります。
2-4.商品・サービス品質の低下につながる施策
商品・サービス品質の低下は顧客離れにつながります。例えば、製品・商品にかかる材料費を見直す場合、品質低下が起こらないよう、事前のチェックが求められます。
品質低下は積み重ねてきた企業の信用が落ちるおそれがあります。自社のイメージや強みにつながる部分は、できるだけ予算を確保するのが良いでしょう。
3.コスト削減を適切に進めるための方法
コスト削減を進めていくためには、手順を踏み、全社を巻き込みながらPDCAサイクルを回すことが重要です。順番に確認していきましょう。
3-1.【Step1】現在の支出を洗い出す
まずは、すべてのコストをリストアップして可視化しましょう。
日々の業務で発生するコストから会社が経営していく中で発生するコストまで、すべての支出を洗い出します。これにより、今までの慣習でなんとなく使っている項目を発見し、削減すべき対象が判断しやすくなります。
3-2.【Step2】得られる効果をシミュレーションする
削減の対象をいくつかピックアップしたあと、その削減でどのような効果が得られるのかシミュレーションしましょう。
シミュレーションすると、プラスの効果だけではなくマイナス面のリスクも見えてきます。例えば、広告宣伝費を削減すると、認知度の低下や販売機会の損失といったリスクが想定されるでしょう。メリットとデメリットを総体的に見たうえで、取り組む価値があるものを見極めましょう。
3-3.【Step3】目標値と目標達成に向けてのプランを設定する
シミュレーションにより削減項目が決まったら、具体的な目標値を設定しましょう。
目標値は、5W1Hを使い具体的に決めるのが良いでしょう。
「When(いつ)」「Where(どこで・どの部署を対象に)」「Who(誰が)」
「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのようにして)」このように、具体的な目標値を設定することで、どのような方法を用いるのか、いつまでに何をやらないといけないかが明確になります。この具体性をもって、対象部署にコスト削減の具体的施策を周知しましょう。
3-4.【Step4】プランを実行し分析と改善を繰り返す
計画を立てたあとは、継続したPDCAサイクルを回すことが重要です。コスト削減のためのプランを実行したあとは、目標の達成率や影響はどの程度だったかをチェックしましょう。目標に達しなかった項目や効果として芳しくない項目については、その原因を探ります。原因を分析した結果、より効果的に削減させるためのポイントが見つかれば、そこに焦点を当てて改善していきましょう。
分析と改善を繰り返すことで、より大きなコスト削減の効果を期待できるようになります。
4.コスト削減に取り組むときのポイント
最後に、コスト削減に取り組むときに留意しておきたいポイントを確認しましょう。
4-1.コスト削減は全社で取り組む
コスト削減は、全社を挙げて意識的に取り組むことが重要です。コスト削減に限らず、これまでの業務の仕方を変更するような改革は、従業員にとって気の進むものではありません。そのため、従業員全員が同じ目標に向かっていくよう、コスト削減の意義をきちんと説明し、コスト削減に対するモチベーションを向上させることが重要です。
また、コスト削減は1つの部署や部門だけで取り組んでも効果が上がりにくい側面があります。複数部署が協力できるプロジェクトチームをつくり、削減目標に向けた課題を解決するのも良いでしょう。
4-2.コスト削減の項目や方法は定期的に見直す
企業において、業務内容が日々変わったり、新たな事業が誕生したりすることは多々あります。また、前述した通りコスト削減はPDCAサイクルの中で見直しながら改善を繰り返すことが重要です。コスト削減の項目や方法は定期的に見直しましょう。
5.コストの削減方法
今回は、企業活動におけるコストの削減方法を説明しました。コスト削減においてはデジタル化による生産性向上が有用です。現状の業務を洗い出しながら、生産性を高め利益向上を達成しましょう。
また、コスト削減の手段として、マニュアル作成も有効です。マニュアル作成の中で業務が可視化され、業務フローの無駄を改善できます。また、業務の属人化も解消され、教育・運用やアウトソーシングにかかる手間やコストが期待できます。マニュアル作成ツール・共有ツール「Dojoシリーズ」は、製品マニュアルから業務指示書に至るまでさまざまな資料作りをお手伝いします。無料トライアルもできますので、まずはお問い合わせください。
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