業務改善は、多くの企業にとって避けられないテーマです。業務改善を実現するには、現場の従業員の声を正確に抽出し、自社が抱える課題を一つひとつ解消することが求められます。
従業員の意見を幅広く募りたい場合は、社内アンケートを実施するのがおすすめです。匿名で回答できるようにしたり、質問項目を工夫したりすることで、従業員の率直な考えを集められます。そこで本記事では、業務改善に役立つ社内アンケートの作り方や質問例、実施のポイントを解説します。
INDEX
1.業務改善に社内アンケートを活用するメリット
業務改善に社内アンケートを活用するメリットは、自社の課題を正確に把握できる点にあります。社内アンケートによって自社の業務内容や働き方、組織風土などに対する、現場の社員の声を集められるためです。アンケート結果をもとに社内の業務の改善項目を可視化し、具体的な改善策を提示できれば、従業員満足度やモチベーションの向上も見込めます。
通常、定期的に会議や1on1ミーティングの場を設けている企業でも、部下が上司や所属部署、会社に対する不満や要望を直接口にするのは簡単ではありません。そこで、匿名での回答が可能なアンケートシステムを採用することで、社員のリアルな声を抽出でき、業務改善に役立てられます。
2.業務改善のための社内アンケートの作り方
社内アンケートは、実施するだけで業務改善や業務効率化につながるものではありません。目的が明確になっていなかったり、質問が最適化されていなかったりすると、アンケート実施によって期待していた効果を得られない可能性もあります。そこで続いては、業務改善につながる社内アンケートの作り方を解説します。
2-1.アンケートの目的を明確にする
社内アンケートを行う際は、実施目的を明確にすることが大切です。目的が不明確だと質問内容も漠然としてしまい、効率的な業務を妨げる要因や生産性が低下している理由を正しく把握できません。また、施策の目的が社員に共有されないことで、形式的な取り組みと誤解され、アンケートの回答率が低下するおそれもあります。
どのような目的を設定するかは、アンケート調査によって確認したいことによって変わってきます。例えば、3M(ムリ・ムラ・ムダ)が発生していないかをチェックしたい場合は、業務改善を目的とすると良いでしょう。また、負担が大きいスケジュール・業務量・仕事内容になっていないか、現状のワークライフバランスは適正かなどの点を調査する場合も、業務改善アンケートが有効です。
2-2.質問事項を作成する
社内アンケートの目的が明確になったら、次は質問事項を設計しましょう。効果的なアンケートを実施するには、業務の問題点が明らかになる質問をするのがコツです。ただし、設問数が多すぎたり、質問文が長すぎたりすると、回答者のストレスにつながる可能性があるため注意しましょう。自由記述の設問は最小限にとどめ、回答形式に選択式の設問も含めるなどの配慮が必要です。
社内アンケートを一から作成する場合は、他社が実施した社内アンケートのサンプルや質問の項目例を参考にするのも一つの方法です。その後は社内アンケートのテンプレートやルールを作成し、ノウハウを蓄積しましょう。これにより、定期的な社内アンケートの実施が可能になります。
3.業務改善のための社内アンケートの質問例
続いては、質問の具体例をご紹介します。自社の社内アンケートに取り入れる場合は、質問内容に応じて記述を求めたり、「そう思う」「思わない」などの選択肢を設けたりしましょう。
3-1.業務環境に関する質問
業務環境に関する質問は、生産性や作業効率が低下している要因の特定や、従業員のストレスチェックを行う際に有効です。業務環境に対する悩みは所属部署や部門によって変わる可能性があるため、調査結果は適切に分類したうえで集計・分析する必要があります。主な質問例には以下のようなものがあります。
【質問例】
・職場の温度や音、明るさは業務しやすい状態に保たれていますか? ・職場の作業スペースや使用する設備・システムは業務しやすい状態に保たれていますか? ・職場のコミュニケーションや相談のしやすさは業務しやすい状態に保たれていますか? ・DXの推進は順調に進んでいると思いますか? |
3-2.現在の業務においての負担に関する質問
業務の属人化や離職率の悪化などの課題を抱えている場合は、業務負担に関する質問を行うと良いでしょう。社内アンケートによって、特定の従業員に負担が集中している傾向が確認できた場合は、人材配置や制度の見直し、担当者の増員などの対策が必要です。ただし、業務負担に関する質問は、本音で回答しづらい内容が含まれているケースがあります。そのため、場合によっては記名式ではなく匿名式のアンケートを採用するなどの工夫が求められます。具体的な質問例は以下を参考にしてください。
【質問例】
・特定の業務を一人の社員しか担当できない状態になっていませんか? ・業務の分散ができない状態になっていませんか? ・業務において負担と感じることはないですか? ・仕事が原因で有給休暇を消化できないケースはありませんか? |
3-3.業務や時間の使い方のムダに関する質問
業務改善アンケートでは、業務や時間の使い方に関する質問も効果的です。ムダな業務や時間の使い方が解消されなければ、作業効率を低下させるだけでなく、従業員のやりがいやエンゲージメントにも影響する可能性があります。社内アンケートでは以下のような質問が有効です。
【質問例】
・時間がムダになっていると感じることはありますか? ・手が空いているのに他人のリカバリーができない状況はありますか? ・作業にムダがあると感じることはありますか? ・業務の流れは最適化されていますか? |
4.社内アンケートを実施するときのポイント
社内アンケートの質問を用意できたら、実際に従業員に回答してもらいましょう。こちらでは、社内アンケートを実施する際の注意点やポイントを解説します。
4-1.ヒアリングの対象者はできるだけ多くする
社内アンケートでは、役職や部署に関わらず幅広い従業員の意見を集めることが大切です。一部の意見だけをヒアリングした場合、十分な成果を得ることは難しくなります。少ないデータをもとに改善策を提案しても、現場の従業員や経営陣の納得は得られにくく、業務改善の実現は進みにくいでしょう。
ヒアリングの対象者を増やすには、オフラインだけでなくWebアンケートを実施するなどの工夫が必要です。回答期限が近づいてきたらメールでリマインドを行い、十分な回答数を確保できるように努めましょう。
4-2.普段から意見を言いやすい環境を整備しておく
社内アンケートの効果を高めるには、従業員が本音を言いやすい環境を普段から整備しておくことも重要です。社内アンケートでは、人事評価制度や給与、労務管理など、従業員が答えにくい内容を質問するケースも多くあります。そのため、本音が言いづらい環境でアンケートを実施しても率直な意見が集まらず、業務改善や組織改善につながりません。
社内アンケートに本音で回答してもらうには、アンケートは職場環境を改善する目的で実施しており、従業員にとってプラスになることを丁寧に説明する必要があります。業務負担の削減や改善を実現するために意見を集めていると伝えることで、アンケートの必要性を理解してもらいやすくなり、回収率のアップが見込めます。
4-3.解決したい課題に優先順位をつける
社内アンケートを実施すると、大小さまざまな問題が見つかる可能性があります。アンケートの回答数や各問題の重要度・緊急度などを踏まえて、優先順位をつけて課題解決に取り組みましょう。声をあげた問題が解決されることで、従業員の間で社内アンケートの重要度が高まり、今後はより積極的な姿勢で回答してもらいやすくなります。
5.社内アンケートを活用して業務改善を実現しよう
今回は、業務改善に社内アンケートを活用するメリットやアンケートの作り方、質問例、実施時のポイントをお伝えしました。社内アンケートの結果は、自社の業務における課題を明確化し、業務改善をスムーズに実現するための有用な資料です。質問項目を最適化し、できる限り幅広い対象者にアンケートを実施することで、業務改善に役立てましょう。業務改善に関するそのほかのアイデアを知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
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