- 業種
- サービス業
- 従業員数
- 10,000人以上
- 課題
-
- マニュアル工数削減
- 人材育成・研修
BPO業務を手掛ける事業所のなかでも最大級の規模を誇るトランスコスモス株式会社 BPOセンター熊本様に、Dojoを導入した経緯と効果などについて話を伺いました
事業所概要と業務の課題
トランスコスモス社最大級のBPOセンター
トランスコスモス株式会社 BPOセンター熊本は、大手企業のバックオフィス業務を支援するBPOに特化した事業所です。主な業務はSCM(Supply Chain Management)に関連する受発注業務、営業サポート、カスタマーサポートなど。単なる間接業務のコスト削減ではなく、ビジネスフロー全体の最適化など幅広くBtoB事業を展開しています。
研修とOJTに課題
BPO業務のプロジェクトを立ち上げる際の基本的なフローからお話させていただきます。まず、お客様へのヒアリングや資料をご教示いただきながら、業務のベースとなる業務マニュアルを当社で作成します。そして、その業務マニュアルをもとにスタッフへの研修とOJTを行っていきます。研修とOJTの期間を経て、本番のBPO業務に携わるわけですが、このOJTに課題がありました。
課題のひとつは理解度のバラツキです。研修では管理者が業務マニュアルに沿って説明していきますが、やはり理解力には個人差があります。経験が浅いスタッフの場合、緊張などで重要な部分を聞き逃してしまうケースもあります。実際の業務に携わっていませんから、「言葉だけで理解してもらう」のは容易ではないと感じていました。
もうひとつの課題は管理者への負荷です。言い方ひとつでスタッフへの伝わり方が異なるため、丁寧に説明する必要があります。さらに、研修とOJTの期間は、管理者がほぼ付きっきりで対応しなければならないため、通常より業務の負荷が増加します。当社としては管理者の負荷を軽減し、業務を円滑に回すために、研修とOJTにかかる工数を削減したいと常々考えていました。
導入経緯と導入プロセス
シミュレーションコンテンツに注目
解決策として、当社のプロジェクト推進部からDojoを紹介されました。マニュアル作成ツールという内容でしたが、本番環境の操作を疑似体験できるHTML5/DHTML形式のシミュレーションコンテンツに注目しました。前述したように「言葉だけで理解してもらう」ことは非常に難しく、OJTでは本番環境でレクチャーするものの、トラブルにつながるような操作はできません。
しかし、疑似操作できるDojoのシミュレーションコンテンツなら、自ら操作することでリアルにイメージすることが可能です。本番環境への影響も心配ありません。研修で「話を聞く=インプット」を行い、OJTで「手を動かす=アウトプット」ができれば、スタッフの理解度も向上し、管理者の負荷も軽減できるのではないかと考え、Dojoを導入することにしました。
新規プロジェクトにDojoを導入
Dojoの導入は2023年1月。タイミングよく4月にスタートする新規のBPOプロジェクトがあったため、ここでDojoを活用することになりました。その間、新規プロジェクトの準備に追われながら、テンダさんのトレーニングセミナーに参加するなどしてDojoの操作を学習。シミュレーションコンテンツの作成方法も理解することができました。
新規プロジェクトは4つのフェーズに分け、徐々にプロジェクトの規模を拡大するスタイルを採用しました(図)。第2フェーズを研修と平行してシミュレーションコンテンツを作成するフェーズと位置付け、Dojoの導入は第3フェーズとしました。
シミュレーションコンテンツで業務の分岐を学習
第2フェーズで、5つの分岐パターンを有するシミュレーションコンテンツを作成しました。一般的な受注作業は、得意先 → 帳合先→ 納品日 → 商品名 → 手数料 → 登録といった具合に入力を進めていきますが、このフローのなかでエラーが発生した場合、業務が分岐することになります。例えば、単価が
マスタと合わない場合、アラートの通知とともに通常とは異なる操作に分岐します。こうした業務上の重要な分岐を、シミュレーションコンテンツ内に5つ作成しました。
シミュレーションコンテンツはDojoのなかでも高度な部類だと思いますが、コーディングが必要になるわけではありませんから、作成する側がしっかりイメージを持っていれば、それほど難しい作業ではありません。そういう意味では、構成を考えるまでが一番大変かもしれません。Dojoの操作はコツを掴ん
でしまえば、直感的に作業ができます。まずは、Dojoの操作フローや設定方法などを理解することが先決だと感じました。
Dojo導入の効果■
<理解度の向上>
シミュレーションコンテンツを導入した第3フェーズは、これまでより明らかにスタッフの理解度が向上しました。導入前の第2フェーズは、初めてお客様環境を前にするので戸惑いが大きく、「間違えてはいけない」という緊張感もあって、ぎこちない操作の場面が多々ありました。第3フェーズはシミュレーションコンテンツを操作し、動的に理解できていましたから、お客様環境を目の前にして業務の分岐が発生しても戸惑いはほぼありません。非常にスムーズな入力を行うことができました。
<OJT期間の短縮>
Dojo導入により、理解度が早く、OJT期間を短縮することができました。通常は10日ほどのOJT期間を設けていますが、シュミレーション環境を導入した第3フェーズはスタッフの理解度が早く、本番前に行うテストは全員が早期に合格しました。これにより、OJTは3割削減の7日で修了。新たなスタッフがこれまでより早期に業務に対応できたので、業務効率化、生産性向上はもちろん、管理者にかかる工数や負荷も軽減することができました。
<管理者が教育に関わる時間を削減>
管理者が行う教育時間は、イニシャルで12時間程度設けていました。Dojo導入後は、16.6%の削減効果を見込んでおり、その分を本来の業務に充てることができると考えています。
今後の展開
ベースの業務マニュアルもDojoで作成
今回の新規プロジェクトでは、しっかりと準備をしながらDojoを導入することができました。この方法なら、これまでの課題を解決できることが分かり、大きな収穫が得られました。今後の展開としては、管理者が不在でも「これを見て操作すれば理解できるシミュレーションコンテンツ」の作成に取り掛かる予定です。また、今後の新規プロジェクト立ち上げの際は、お客様とのヒアリング後に作成する業務マニュアルもDojoで作成するつもりです。
一方、スタッフのスキルが平準化していないプロジェクトもあるので、マニュアル作成や教育に豊富な知見を持つテンダさんからもアドバイスをもらいながら、良い施策を見つけられればと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。