「NTTグループのDXを推進し、お客様のDX支援につなげるバックオフィス業務改革DXプロジェクト『グループ共通IT』の業務習熟にDojoが大きな役割を果たしました」
NTTグループ115社約25万人が利用する業務システムの業務習熟をDojoが支援
左から NTTファイナンス株式会社 アカウンティング部 システム部門 経理DX推進担当 担当課長 村田 和信様
株式会社NTT ExCパートナー DX調達事業部 業務システム部門 業務推進担当 担当課長 小沼 豊様
NTTコムウェア株式会社 エンタープライズソリューション事業本部 エンタープライズビジネスソリューション部 ソリューションコンサル部門 担当課長 佐藤 匡様
NTTアドバンステクノロジ株式会社 Value Co-creation事業本部 カスタマーエンゲージメントビジネスユニット 主査 眞田 仁衛様、主任 板垣 涼子様

NTTグループ115社約25万人が利用するバックオフィス業務改革DXプロジェクト「グループ共通IT」を推進したNTTコムウェア株式会社様、NTTファイナンス株式会社様、株式会社NTT ExCパートナー様、NTTアドバンステクノロジ株式会社様に、Dojoを導入した経緯と効果などについて話を伺いました。

NTTコムウェア株式会社 エンタープライズソリューション事業本部 エンタープライズビジネスソリューション部 ソリューションコンサル部門 担当課長 佐藤 匡様

「グループ共通IT」の概要

NTTコムウェアがシステム開発と導入に向けた横断事務局を推進

財務、調達、請求(以下、ビリング)、決裁、勤務管理の5領域において、NTTグループ115社約25万人が利用する新たな共通システムを2023年4月に一斉導入するという一大プロジェクトがバックオフィス業務改革DXプロジェクト「グループ共通IT」です。当該システムの開発、および導入の横断体制を推進していく事務局の役割を担ったのがNTTコムウェアで、新業務プロセスの策定および利用各社向けにサービスとして提供する役割が NTTファイナンス(財務システム担当)、NTT ExCパートナー(調達システム担当)となります。また、Dojoとともにアダプションツールとして採用させていただいたMatchManualの提供者が、NTTアドバンステクノロジとなります。

おかげさまで今回の「グループ共通IT」は、日本国内におけるさまざまなシーンにおいてプロジェクト・マネジメントが適用され、優れた成果を生み出しているプロジェクトを表彰する「PM Award 2023」にて、優秀プロジェクト賞と特別賞のウェルビーイング賞を受賞することができました。

財務、調達、ビリング、決裁、勤務管理の5領域をDXで一元化

NTTが2018年に策定した中期経営戦略「Your Value Partner 2025」では、「お客さまのデジタルトランスフォーメーションを支援」「自らのデジタルトランスフォーメーションを推進」「人・技術・資産の活用」「ESG経営の推進、株主還元の充実による企業価値の向上」という4つの柱を掲げました。そのなかの「お客さまのデジタルトランスフォーメーションを支援」を推進していくには、「自らのデジタルトランスフォーメーションを推進」が前提ということで、白羽の矢が立ったのがバックオフィスでした。

これまでバックオフィスは、個社ごとに最適化したシステムを利用してきました。しかし、「自らのデジタルトランスフォーメーションを推進」を展開し、「お客さまのデジタルトランスフォーメーションを支援」していくには、バックオフィスのデータ共有と一元化は必須。勘定科目をはじめ、取引先コードや提供サービス、売り上げまで含めたマスタデータをグループ全体で共有できれば、このデータを活用して「お客さまのデジタルトランスフォーメーションを支援」を戦略的に推進することができます。

そこで、バックオフィスのベースとなる財務、調達、ビリング、決裁、勤務管理の5領域をピックアップ。これらのシステムをグループ全体の横軸で連携するエンタープライズアーキテクチャを設計し、それを共通言語にグループの垣根を越えたバックオフィス業務改革DXプロジェクト「グループ共通IT」として進めていくことにしました。

カットオーバーまでの全体フロー

NTTグループ115社約25万人の業務習熟に課題

「グループ共通IT」では、「アプリケーション(システム)」「データ(移行)」「プロセス(業務)」の3つの観点を注視しながら進めてきました。まず、「アプリケーション(システム)」で重視したのは、グローバルスタンダードであること。長い歴史と知見を併せ持つNTTグループですが、国内外を問わずグローバルにビジネスを展開していくには、グローバルスタンダードを取り入れてスピーディーに業務を推進していかなければなりません。そこで、システムの根幹にはSAPを中心としたグローバルスタンダード製品を選定。「アプリケーション(システム開発)」と「データ(移行)」を並行させながらプロジェクトを進めていきました。

「グループ共通IT」のような大規模なプロジェクトとなると、開発の部分を注視しがちですが、実は今回、重視したのは「プロセス(業務)」の部分です。「アプリケーション(システム)」「データ(移行)」に関しては、開発側に依存する領域であり、これまでの実績から高い信頼を置いています。憂慮していたのは、2023年4月一斉にカットオーバーした際、グループ115社約25万人がシステムを理解し、滞りなく利用できる状況にあるかということ。つまり、約25万人の利用者にくまなく業務習熟を行き渡らせ、新システムを利用開始するという機運を醸成させる必要がありました。

業務習熟のためのツール

業務習熟に求めたデジタルツール

まず、旧来の「印刷したマニュアルをもとにした説明会」というスタイルは、「グループ共通IT」の規模と期間を考えると、労力と時間がかかり過ぎます。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが中心になっている状況と、DXで業務習熟を効率化したいという2つの面を考慮し、我々はデジタルツールに活路を求めました。

そこで、業務習熟度の向上について「知る(認知)」「分かる(理解)」「できる(体得)」の3つのステップに分けました(図1)。「知る(認知)」はマニュアルをもとに、作業イメージを認知するステップです。「分かる(理解)」は疑似環境でシミュレーション操作を行い、オペレーションを理解するステップです。我々が求めたデジタルツールは、ステップ1における業務マニュアルを効率的に作成するためのツールと、ステップ2における本番環境を疑似体験できる動的コンテンツ作成ツールの2つ。最終場面のステップ3の「できる(体得)」では、実機で本番のシステムを操作して業務習熟度を滞りなく業務実施できる水準まで高めていきます。

図1 業務習熟の醸成フェーズ

図版提供:NTTコムウェア株式会社

マニュアルと動的コンテンツの両方を作成できるDojo

マニュアル作成ツールと動的コンテンツ作成ツールに分け、いくつかの製品を比較・検討していきました。そのなかで唯一、ひとつの製品でマニュアルと動的コンテンツ(Dojoではシミュレーションコンテンツ)の両方を作成できたのがDojoでした。そこで、Dojoを購入し、以下の観点でPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施することにしました。

  1. SAPなどのグローバルスタンダード製品上で問題なく動作するか
  2. 誰でも使える操作性を有しているか
  3. コストパフォーマンス

①はSAPほか、対象となるすべてのグローバル製品で問題なく軽快に動作することを確認できました。②は説明書を読めば誰でも初期セットアップから始められるレベル。容易なオペレーションだと感じました。③はひとつの製品でマニュアルと動的コンテンツの両方を作成できるわけですから、十分なコストパフォーマンスがあります。よって「グループ共通IT」の業務習熟におけるツールはDojoが適していると判断し、導入することにしました。

業務習熟のための体制づくり

個社ごとに旗振り役のチェンジエージェントを配置

業務習熟において、ツールと同等に重要だと考えたのは「業務習熟を高める体制づくり」です。とくに今回は財務、調達、ビリング、決裁、勤務管理の5領域を同時に刷新するわけですから、例えば、財務担当であっても調達、ビリング、決裁、勤務管理の業務習熟が求められます。このように、ユーザーが理解しなければならない領域が多岐にわたるため、業務習熟を高める体制に必要な旗振り役は、「グループ共通IT」を開発・提供する我々だけでは足りません。

そこで、業務習熟全体の体制づくりに取り組み、図2のようなピラミッド型の仕組みを考案。この体制で重要な役割を担うのは、個社推進リーダ(チェンジエージェント)です。それぞれ個社のチェンジエージェントが旗振り役となり、自社における業務習熟のサポートと意識改革を推進していきます。この体制なら業務習熟の機運醸成に加え、当事者となることで「自らのデジタルトランスフォーメーションを推進」の加速も期待できると考え、2022年4月から体制をスタートさせました。

図2 業務習熟の展開体制

図版提供:NTTコムウェア株式会社

Dojoの活用状況

2022年夏以降に業務習熟が加速化

ある程度、開発が進まないとマニュアルは作成できませんから、本格的に業務習熟が始まったのは2022年8月以降です。また、5領域のシステム開発は横並びのスタートではないため、習熟を開始するタイミングは同時ではありません。そういった状況のなか、それぞれの領域の担当会社がマニュアルとシミュレーションコンテンツを作成し、個社のチェンジエージェントと連携しながら、秋から年末にかけて「知る(認知)」「分かる(理解)」のステップを展開。2023年1月初旬からカットオーバー前までは「できる(体得)」ステップを実施し、最終的なオペレーションを体感し業務遂行が可能であるという意識の醸成に注力していきました。駆け足ではありましたが、各社チェンジエージェントの責任感を持った取り組みにより、業務習熟をスムーズに進めることができました。

テンダが講習会とセミナーで支援

マニュアルとシミュレーションコンテンツを用いて業務習熟を展開するうえで、テンダさんの講習会とセミナーは大きな支えとなりました。NTTコムウェアに関しては、2022年8月ぐらいから初級編と中級編の操作指導講習会を開催してもらい、その様子を動画にして参加できなかった開発メンバーにも共有。さらに、無料のトレーニングセミナーも活用させていただきました。また、NTTファイナンス、NTT ExCパートナーにおいても、前述したようにマニュアル作成に取り掛かるタイミングが異なっていたため、それぞれに対して同様の講習会とセミナーを開催いただき、テンダさんには大きな負荷をかけてしまいました。テンダさんの柔軟なサポートには大変感謝しています。

MatchManual(マッチマニュアル)の導入

Dojoのコンテンツを一元管理

マニュアルやシミュレーションコンテンツを活用する際、標準マニュアルのほかに、段階的にリリースされるマニュアル(準正常処理や異常時の対応を記した補助マニュアル)や、随時更新される改訂版マニュアルがあるなかから、目的のマニュアルを面倒な手間なく、どれだけ手軽かつピンポイントに参照できるかがポイントになります。まず、これだけ膨大な量になると、これまでのような「圧縮したマニュアルファイルをダウンロードし、ローカル環境で参照」といった手法は使えません。ユーザビリティを考えると、クラウドの共有スペースにマニュアルやシミュレーションコンテンツを集約し、ブラウザだけで手軽に参照できる仕組みがベストです。そういったソリューションを社内外でリサーチしたところ、NTTアドバンステクノロジのナレッジ検索システムMatchManualが合致しました。

MatchManualは、マニュアルやシミュレーションコンテンツをデータベース化し一元管理が可能。更新や差し替えも、最小限の工数で行うことができます。何よりも、参照したいマニュアルやシミュレーションコンテンツの検索キーワードをブラウザ画面に入力すれば、AIエンジンが該当するページやコンテンツを見つけ出し、ピンポイントで提示する機能が秀逸でした。現在、MatchManualで管理しているマニュアルおよびシミュレーションコンテンツは700以上。集約する仕組みを標準化できたため、これを機に「グループ共通IT」以外の人事システムマニュアルもMatchManualで管理するようになりました。

さまざまな企業のナレッジや履歴の管理、FAQの整備に活用できるシステム

NTTアドバンステクノロジ株式会社 Value Co-creation事業本部 カスタマーエンゲージメントビジネスユニット 主査 眞田 仁衛様、主任 板垣 涼子様

MatchManualは利用環境に合わせてカスタマイズできるシステムです。当初、Dojoで作成したシミュレーションコンテンツの参照に問題がありましたが、すぐにカスタマイズで対応させていただきました。また、今回はユーザー数が多いため、リバースプロキシを立ててシミュレーションコンテンツの表示を高速化させるなど、システム面を含めた導入支援を実施しました。さらに、マニュアル作成に関わる管理者が多数となることから、管理権限設定の雛形を提供しました。

MatchManualはGPUなしでの運用にも対応しているため、GPUが必須である製品に比べてサーバ調達・維持コストを安価に抑えることができます。さまざまな企業のナレッジや履歴の管理、FAQの整備などにご活用いただけます。

Dojoに対する評価と導入効果

<環境に合わせて選択できるライセンス形態>

マニュアルを作成する環境によってインターネット接続の可否がありましたが、Dojoは環境に合わせてライセンスを選ぶことができました。インターネットにつながっているOA環境では、インターネットで認証するライセンス、インターネットにつながっていない開発環境では、ライセンスサーバーを立てて認証するライセンスが選べます。マニュアルづくりをするうえで、環境を問わず同じアプリケーションでマニュアル作成ができるのは本当に便利でした。

<ユーザビリティを考えた機能の数々>

不要となる重複したキャプチャー画面を一気に削除する機能や、ファイルサイズを節約する機能など、痒いところに手が届く機能が豊富に用意されていました。こうした実作業に即したユーザビリティの高い機能により、効率良くマニュアルを作成することができました。

<リクエストに対応できるジェネレート(出力)>

Dojoを導入していない個社から、編集可能なPowerPointファイルのマニュアルがほしいというリクエストがありました。もちろん、DojoはPowerPointファイルにジェネレートできるため、まったく問題ありません。ほかにも、WordやExcel、PDFなどにもジェネレートできるため、データ共有はもちろん、個社仕様に編集・加筆する場合も対応することが可能です。

<MatchManualとの高い親和性>

手作業でWordのマニュアルを編集すると、管理者よって「微妙にフォーマットが異なる」「編集の繰り返しでアンカータグが挿入されてしまう」場合があります。その場合、MatchManualで管理するとエラーが発生する可能性がありますが、Dojoで作成しジェネレートしたWordファイルは一切エラーが起きませんでした。最初に600件ほど登録し、まったくエラーが起きなかったため、我々が驚いたほどです。

今後の展開

今回はバックスオフィス5領域のプロジェクトでしたが、今後もDXを推進するなかで着手しなければならないバックスオフィス業務が出てきます。また、個社に目を向けると、マニュアルでの管理が行き届いていない業務、あるいはマニュアル化されていない業務が数多くあると考えています。

今回の「グループ共通IT」を通じ、DojoとMatchManualの知見とノウハウを蓄積できましたから、EX(Employee Experience)を向上させるためにも、今後もDX推進と並行してマニュアル作成とその管理に取り組んでいきたいと思います。

シミュレーションコンテンツをフル活用して業務習熟を支援

NTTファイナンス株式会社 アカウンティング部 システム部門 経理DX推進担当 担当課長 村田 和信様

2022年10~12月にかけては、Dojoで作成したマニュアルとシミュレーションコンテンツによる「知る(認知)」「分かる(理解)」のオンライン研修、2023年からは実機による「できる(体得)」の業務習熟を展開しました。そのなかで2022年度のオンライン研修時、個社のチェンジエージェントを通じて「2023年4月に業務ができる準備」の可否を問うユーザーアンケートを実施。5段階評価4点の回答を目標にしていましたが、当初はなかなか到達しませんでした。そこで、シミュレーションコンテンツをフル活用したところ、実機研修が終わる頃には、ほとんどのユーザーから4点の回答をもらうことができました。理解に遅延がみられる個社については関連企業のサポートを仰ぐなど、コミュニケーション強化によって業務習熟を醸成。最終的にはすべての会社から「準備が整いました」と回答を得ることができました。

ちなみに、財務のマニュアルは目次項目でいうと400項目ほどありました。そのなかで、とくに重要なのは操作手順を学習する約150項目。この項目について、財務システムのプロトタイプ版をベースに、マニュアルやシミュレーションコンテンツを作成していったわけですが、Dojoは操作画面を自動的にキャプチャーし文字入力スペースも用意してくれますから、慌ただしいなかでも効率的に作業を進めることができました。Dojoを導入して本当に助かったと実感しています。

学習管理システムでユーザーの学習履歴を可視化し、業務習熟の醸成を促す

株式会社NTT ExCパートナー DX調達事業部 業務システム部門 業務推進担当 担当課長 小沼 豊様

業務習熟を高めるには実機環境を使っていただくのがベストですが、どうしてもアカウント数に制限があります。そこで、大きな補助となったのがDojoのシミュレーションコンテンツです。実機を操作しているような感覚で画面遷移を確認できますから、ユーザーは実機を操作しなくても、大まかな作業イメージは確認できたと思います。また、Dojoを利用するうえでテンダさんに設けていただいたトレーニングの機会は、スムーズなマニュアル作成に欠かせないものでした。ヘルプデスクのレスポンスも良く、Dojoの操作手順を丁寧にレクチャーしていただきました。ありがとうございました。

「2023年4月に業務ができる準備」は我々も重視していました。導入会社の調達部門リーダーを通じ、ユーザーアンケートや進捗管理の報告はもちろん、希望した個社には当社で利用している学習管理システムを提供してユーザーの学習履歴を可視化。その可視化データを調達部門リーダーにフィードバックし、さらなる業務習熟の醸成を促しました。毎週ディスカッションを行って調達部門リーダーと信頼関係を築いていったこと、個人の進捗状況しっかりウォッチしていったことなどにより、無事にカットオーバーを迎えることができました。

NTTコムウェア株式会社
NTTファイナンス株式会社
株式会社NTT ExCパートナー
NTTアドバンステクノロジ株式会社
業種
その他
従業員数
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課題
  • 業務標準化・品質向上
  • システム運用定着
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