RPAにできないこと・不得意な業務はなにか?

2019年11月25日

不得意な業務をするRPAのロボット

働き方改革が推進されていることを背景に、各企業で「業務効率向上」「生産性向上」が求められるようになりました。 RPAはその課題にアプローチできる手段のひとつとして注目を集めています。 RPAの導入によって、業務効率化や生産性の向上を実現することが期待されていますが、RPAには処理できない業務もあります。 RPAでできることと、RPAにはできない・不向きな業務をご紹介するので、RPAを適用する対象となる業務の洗い出しにお役立てください。

RPAができること

まず、多くのRPAで自動化が実現できる主な作業について解説します。RPAができることには、主に2つの作業があります。自社が自動化を実現したい作業が該当するかどうか確認しておきましょう。

認識系作業

RPAはルーティンワークを自動化するというイメージが先行しがちですが、データの認識を伴う業務も自動化することができます。 具体的には、ユーザーインターフェースや、ファイル・画像を認識できます。ここから、RPAはPC画面上の文字や色、図形などを認識できると言えます。

ちなみにユーザーインターフェースとは、ユーザーとコンピューターが連携して情報をやり取りする仕組みのことです。 ハードウェア面においてはキーボード・マウス・ディスプレイなどのことを指し、ソフトウェア面においてはボタンをクリックして違う画面に遷移したり、ユーザーに情報を提示したりすることを指します。

RPAは画面上のボタンや図をオブジェクトとして認識し、どこに何をするためのオブジェクトがあるのか、判断したうえで自動化を行うことができます。
ただもちろん、はじめにRPAに覚えさせるシナリオ上で、これらの情報を定義する必要はあります。

また、AI(人工知能)が組み合わさることにより、自動化の精度が増し、機会学習で自ら修正をかけていくことも可能になります。

実行系作業

こちらはRPAのイメージ通り、ロボットに組み込まれたルール通りに作業を遂行する機能です。 人間による判断が必要ない場面で特に活躍し、業務効率化や生産性向上に役立ってくれます。きちんと決められた手順さえ組み込んでおけば、条件分岐のある作業も繰り返し実行できる点が特徴です。PC内で完結し、ルールや手順が定められている実行系作業はほぼ自動化できると考えてよいでしょう。ホワイトカラー業務の多くがRPAの得意とする実行系作業により自動化できると言われています。

この実行系作業を自動化することで、ホワイトカラー社員の負担が軽減され、業務効率が向上されることが期待できます。さらに、削減できた時間は本来取り組むべき業務、具体的には企画提案や営業などといったクリエイティブな業務に充てられ、そこに注力できるという点が強みです。人間はRPAでは対応が難しい、イレギュラーなことが発生した際にのみ対応すれば良いのです。この面だけを見ても、RPA導入を検討する余地は十分にあると言えるでしょう。

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RPAではできない業務

RPAに実行できない業務のタイトルイメージ

次に、RPAではできない業務、不得意な業務についてご説明します。 RPAは万能ではないため、遂行が困難な業務も存在します。自社で自動化したい機能が現在のRPAに搭載されていない可能性もあるため、一つずつ確認していきましょう。

ルール化されていない非定形業務

RPAの弱点の一つは、組み込んだ業務を繰り返し実行することしかできないことにあります。 ルールや作業手順がきちんと定まっておらず、ところどころで人の判断が介入する非定型業務は、RPAによる自動化は難しいでしょう。最初に設定したルールに外れることが起こると処理ができないのです。
属人化してしまっている業務などがある場合、個人の判断に大きく左右されているケースが多いので、RPA化を行う前に、きちんとルール化して定義づけておく必要があります。

近年では、RPAをAIと連携させ、この課題を克服する試みがなされています。そのため、RPAの性能に対する期待が高まっているのも事実です。 今後、AIのようにRPAも自動で判断処理までをカバーできるようになる日がくるかもしれません。

RPAはAIと混同されがちですが、この二つは全く別物です。AIは学習機能を搭載しており、データベース内の情報から分析・判断まで実現できます。 一方のRPAは人間が作り組み込んだルールから外れることがないように作業を繰り返し実行するというものです。

人間の判断や思考が必要な処理

問題解決を目的とした処理には、人間による判断や思考が必要となってきます。 他にも、問題解決のためのアプローチ法や、どのようなプロセスが必要なのか、必要でないのかといった応用的な判断を要す処理は現状のRPAにはできません。

先述の通り、RPAはAIとは異なり分析や判断などを不得手としています。そのため、クライアントや現在の関係性などによって対応を変えなければいけない業務ではあまり活躍できないでしょう。 条件分岐も組み込み次第では可能だと説明しましたが、こちらも複雑な条件分岐になるとRPAが処理しきれなくなってしまうケースが見られます。 そのため、闇雲にRPAロボットを制作すると、かえって不具合が多くなってしまう可能性があるのです。

RPAはあくまでも定型業務を自動化するロボットだと考えて、RPAロボットの開発・管理に取り組むとよいでしょう。

RPAが不得意な業務

先ほどはRPAが実行不可能な処理や業務について解説しました。それでは、RPAに適さない業務にはどのようなものがあるのでしょうか。

急な仕様変更が生じる業務

たとえルールがきちんと決まっている業務であっても、仕様の変更が頻繁に発生する業務には向いていません。 RPAは業務の変更に対応すること自体はできますが、工程の変更に伴って、RPAに組み込んであるルールを決め直す必要があり、これが頻繁に発生するとかえって工数が増えてしまうことがあります。自動化によってコストや負担を削減したいというRPA導入の目的から遠ざかってしまうのです。仕様変更が発生するたびにRPAにルールを組み込み直していては、業務の効率化も実現できません。

紙媒体のデータ認識

先述の通り、RPAはPC上の字を認識することは得意としています。しかし、紙媒体のデータを認識するとなると話は別です。紙媒体などの、いわゆるアナログデータを認識させたい場合は、OCR(光学的文字認識)とRPAを組み合わせてデータ認識させる必要があります。しかし、OCRと組み合わせても完璧にアナログデータを認識できるとは言えないのが現状です。

ちなみに、OCRとは手書きの文字や印刷された文字などを、コンピューターが認識できるように文字コードに変換する技術やツールを指します。

手描き文字・画像の認識

手書き文字や、手描き画像の認識もRPAは不得意としています。 縦書き文章や横書き文章が混在していたり、旧字体や特殊文字などを読み取ったりする例外的な処理を苦手とすることが障害となっているのです。

また、形が似ている漢字の読み取りもRPAにとっては難しいとされています。旧字体や特殊文字、形が似ている漢字では、間違った認識をしてしまう可能性があるのです。 手書き文字や手描き画像の場合はOCRと組み合わせても抽出や認識が困難なケースがあります。

Windows以外のパソコンでの処理

現状販売されている多くのRPAツールが、Windowsパソコンにのみ対応しています。MacやUNIXなどで動かせるツールもありますが、こちらは少数となっています。 自社のパソコンのOSがWindowsであれば問題はありませんが、他のOSを使用している場合は対応しているRPAツールを探さなければいけません。 そのため、Windows以外のパソコンでの処理が不得手とされているのです。

RPAに適した業務は自動で抽出できる

RPAはうまく使えば便利なツールですが、決して万能なツールではなく、自動化を実現できることとできないことがあります。 例えば、ルールや手順がきちんと定義され、ルーティン化された業務の自動化には適しています。しかし、その一方で人間の思考や判断が必要な非定形業務は、現在のRPAでは対応できません。
RPAを導入するにあたり、まず自社で自動化すべき業務を洗い出し、その業務がRPAでできないことに該当しないか確認する必要があります。
業務の洗い出しにも様々な手段がありますが、短期間で比較的コストを抑えてできる業務可視化ツールがオススメです。 中でも「D-Analyzer(ディーアナライザー)」はパソコンにインストールし、一定期間普段通り業務を行うだけで、ログを集めることができ、課題を可視化するとともに、業務フローの抽出まで自動で行えます。 どういった業務を自動化すればよいのか迷っている場合は、D-Analyzerのようなツールをまず導入してみるとよいでしょう。RPAに適した業務かそうでないかが明確に分かるようになります。

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