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ナレッジワーカーとは?求められるスキルや育成のための組織づくり

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近年ナレッジワーカーという言葉が注目を集めています。現代社会では、知識を活かして付加価値を生み出すことが求められるようになり、ナレッジワーカーの存在が重要となっています。従来の労働力とは異なり、知識と創造力を武器に新しい価値を創出するナレッジワーカーの役割は、ビジネスの成功に欠かせません。本記事では、ナレッジワーカーの定義や必要なスキル、育成するための組織づくりについて解説します。

1.ナレッジワーカーとは?

VUCAイメージ
ナレッジワーカーの意味や、どのような役割を果たすのかについて理解することは、現代のビジネス環境において重要です。まずはナレッジワーカーの定義や特徴を明らかにし、なぜ重要なのかを掘り下げていきます。

1-1.ナレッジワーカーの定義

ナレッジワーカーとは、「ナレッジ(知識)」と「ワーカー(労働者)」を組み合わせた造語で、自身の知識を活かして新たな付加価値を生み出す労働者のことを指します。知識労働者とも呼ばれ、従来の製造業や肉体労働の対となる概念です。

オーストリアの経済学者ピーター・ドラッカーが提唱し、広まりました。ピーター氏は「マネジメント」という言葉も生み出した学者で、「知識経済を根本から支える高度な専門知識を持つ労働者」とナレッジワーカーを定義しています。

ナレッジワーカーは、単に情報を持っているだけではなく、その知識を基に新しいアイデアやソリューションを生み出す能力が求められます。専門的な知識を駆使して問題を解決し、ビジネスにおいて競争力を高める役割を果たします。また、ナレッジワーカーは継続的な学習と成長が不可欠であり、新しい知識や技術を常に取り入れることが求められます。

1-2.ホワイトカラーとの違い

ホワイトカラーとは、ワイシャツを着て仕事をするオフィス系、ビジネス系の職種を指します。ワイシャツの「白い襟」からホワイトカラーと呼ばれます。ホワイトカラーは職種を指す言葉であるのに対し、ナレッジワーカーは人を指しています。対義語であるブルーカラーは肉体労働に従事する労働者を指します。ナレッジワーカーは、知識を基に付加価値を生み出すことが求められるのが大きな違いです。

ナレッジワーカーは、自分の知識を活用して創造的な解決策を提案し、ビジネスの効率を高める役割を果たします。一方で、ホワイトカラーは通常、事務的な業務を遂行するため、創造的な問題解決能力や専門知識の活用が必ずしも求められるわけではありません。

1-3.マニュアルワーカーとの違い

マニュアルワーカーとは、マニュアルに従って業務をおこなう労働者のことを指します。マニュアルワーカーの仕事には正確性や迅速性、生産性が求められます。一方、ナレッジワーカーは自身の知識や経験を基にして創意工夫をおこない、仕事に付加価値を加えることが求められます。マニュアルワーカーが決められた手順に従って働くのに対し、ナレッジワーカーは問題解決やイノベーションに貢献することが期待されるのです。

マニュアルワーカーは、特定の手順に従うことで効率的に業務を遂行しますが、ナレッジワーカーはその手順を改善し、より効率的な方法を見つけ出すことが求められます。また、ナレッジワーカーは新しい問題に直面した際に、自らの知識と創造力を活かして解決策を考案することが期待されます。

2.ナレッジワーカーが注目されている理由

ナレッジワーカーが注目される背景には、現代社会の変化が深く関わっています。続いてはテクノロジーの発展や消費者の価値観の変化、さらにVUCA時代への対応の必要性について見ていきましょう。

2-1.テクノロジーの発展

IT化の進展により、人間の労働力が必要だった作業を、ロボットが代替できるようになりました。これにより、人がおこなう仕事の内容が見直されるようになり、仕事に付加価値を生み出すナレッジワーカーの存在が求められるようになりました。単純作業が自動化されるなかで、ナレッジワーカーは知識を基に新しい価値を創造し、競争力を高める役割を担っています。

テクノロジーの進化により、情報のアクセスや処理が高速化し、ナレッジワーカーはより高度な分析や判断をおこなうことが求められています。

例えば、ビッグデータ解析やAI技術を駆使して、より正確で迅速な意思決定が可能となります。これにより、企業は市場の変化に迅速に対応し、競争優位を維持することができるのです。

2-2.モノ消費からコト消費への変化

消費に対する価値観が変わってきています。物ではなく体験に価値を見いだす「コト消費」が増え、消費者に合わせて「モノ」ではなくサービスを提供する企業が増えてきました。消費者の求めるものを読み取り、新しい付加価値を提供することが重要となっています。ナレッジワーカーは、こうした変化に対応し、消費者のニーズに合ったサービスを提供する役割を果たしています。

この流れは、旅行やエンターテイメント、教育などの分野で顕著に見られます。ナレッジワーカーは、顧客の体験価値を向上させるために、創造的なサービスやコンテンツを提供することが求められます。例えば、個別に最適化された旅行プランの提案や、インタラクティブな学習プログラムの開発など、消費者の期待を超える体験を提供することが重要です。

2-3.VUCA時代に対応する必要性

VUCAとは社会やビジネスにおいて将来の予想が難しい状態を表す言葉で、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語です。変化の激しい時代には、柔軟性が高く迅速に対応できるナレッジワーカーが必要です。ナレッジワーカーは変化に適応し、新しい課題に対する解決策を見出す力を持っています。

VUCA時代において、企業は予測不可能な環境に対応するために、ナレッジワーカーの柔軟性と創造力を活かすことが求められます。急速に変化する市場環境や技術の進化に対応するためには、ナレッジワーカーが持つ専門知識と経験を活かし、迅速に戦略を見直し、実行することが重要です。さらに、ナレッジワーカーは組織内の情報共有とコラボレーションを促進し、複雑な問題に対する総合的な解決策を提供することが期待されます。

3.ナレッジワーカーに分類される主な職種

ワーカーイメージ
ナレッジワーカーに分類される職種は多岐にわたります。ここでは、金融ディーラーやコンサルタント、ITエンジニアなど、具体的な職種について説明し、それぞれの役割や求められるスキルについて紹介します。

3-1.金融ディーラー、金融アナリスト

金融ディーラーや金融アナリストは、顧客から預かった株や債券を運用して利益を還元する職業です。高度な専門知識が求められ、金融市場の動向を読み解き、適切な投資判断をおこなうことが求められます。経済の変動や市場のリスクを理解し、クライアントに適切な投資戦略を提供することが重要です。

3-2.コンサルタント

コンサルタントは、企業や個人に対して専門的なアドバイスを提供し、問題解決や業務改善を支援する役割を担います。幅広い知識と経験を持ち、クライアントのニーズに応じた解決策を提案します。業務効率化や経営戦略の立案など、多岐にわたる業務を担当します。

3-3.ITエンジニア

ITエンジニアは、情報技術を駆使してシステム開発や運用をおこなう専門職です。プログラミングスキルやシステム設計の知識が求められ、企業のITインフラを支える重要な役割を果たします。新しい技術の導入やシステムの最適化を通じて、企業の競争力を向上させます。

3-4.データサイエンティスト

データサイエンティストは、大量のデータを分析し、ビジネスの意思決定に役立つ洞察を導き出す専門家です。統計学や機械学習の知識が求められ、データを基にした予測モデルの構築や、データからのインサイトの抽出をおこないます。データに基づく戦略的な意思決定を支援します。

3-5.マーケター

マーケターは、製品やサービスの市場導入戦略を立案し、消費者ニーズに応じたマーケティング活動を展開します。市場調査やデータ分析を通じて、効果的なプロモーション戦略を策定します。ブランドの価値を高め、顧客のロイヤルティを向上させることが求められます。

3-6.デザイナー

デザイナーは、視覚的なデザインを通じてメッセージを伝える専門職です。グラフィックデザインやプロダクトデザイン、ウェブデザインなど、多岐にわたる分野で活躍します。創造力と技術力を駆使して、視覚的な魅力を持つデザインを作り上げます。

3-7.専門医

専門医は、特定の医学分野に特化した高度な専門知識を持つ医師のことです。診断や治療において高度な技術が求められ、患者に対して適切な医療を提供します。最新の医療知識を常に更新し、患者の健康を守る役割を果たします。

3-8.弁護士、税理士、行政書士などの「士業」

弁護士や税理士、行政書士などの「士業」は、法律や税務に関する専門的な知識を持ち、クライアントに対して法律や税務のアドバイスを提供します。法的問題の解決や税務の最適化を図り、クライアントの利益を守る役割を担います。

4.ナレッジワーカーに求められる主なスキル

ナレッジワーカーが効果的に働くためには、特定のスキルが必要です。ここでは情報発信能力や情報収集、コミュニケーション能力、分析力、発想力など、ナレッジワーカーに求められる主要なスキルについて解説します。

4-1.情報発信能力

ナレッジワーカーには、自らインプットした情報を社内に共有する必要があります。知識を社内で活用できるような状態にすることが求められ、社内の問題や課題を発見した場合には、対策案を発信する能力が重要です。これにより、社内の問題解決につながり、組織全体のパフォーマンスが向上します。情報を共有・発信する際には、ナレッジ共有ツールを活用するとスムーズにおこなうことができます。

例えば、プロジェクトの進行状況や新しい技術の導入に関する情報をチーム全体に共有することで、業務の効率化や問題解決が迅速におこなえるようになります。情報発信能力は、リーダーシップの一環としても重要であり、組織全体のコミュニケーションを円滑にし、チームの一体感を高める効果もあります。

4-2.情報収集

ナレッジワーカーには豊富な知識が求められ、常に情報をアップデートし続ける必要があります。新しい技術や市場動向、業界のトレンドに敏感であり、常にアンテナを張って幅広い情報を収集することが求められます。多様な情報源から最新情報を得ることで、より正確で有益な知識を提供することができます。

業界の最新ニュースや学術論文、競合他社の動向などを定期的にチェックし、必要な情報を迅速に収集します。情報収集能力は、問題解決や意思決定において重要であり、適切な情報を基にした戦略立案や提案が求められます。また、ネットワーキングを通じて専門家との交流を深めることで、貴重な情報を得る機会も増えます。

4-3.コミュニケーション能力

ナレッジワーカーには、ほかのメンバーと効果的に情報を共有し、協力し合うためのコミュニケーション能力が必要です。明確でわかりやすい言葉で情報を伝えることが求められ、チーム内外の関係者と円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。これにより、チーム全体のパフォーマンスが向上し、効果的な問題解決が可能となります。

コミュニケーション能力は、単に情報を伝えるだけでなく、相手の意見を理解し、共感する力も含まれます。チームメンバーやクライアントとの信頼関係を築くために、積極的なコミュニケーションを心掛けることが重要です。定期的なミーティングやフィードバックの機会を通じて、情報交換や意見の共有をおこない、組織全体の目標達成に向けて協力し合うことが求められます。

4-4.分析力

ナレッジワーカーには、データや情報を正確に分析し、的確な結論を導き出す能力が求められます。データを基にした論理的な思考や、問題の根本原因を見つけ出す力が必要です。分析力を駆使して、企業の課題解決や戦略立案に貢献することが期待されます。

マーケティングデータを分析して顧客の行動パターンを把握し、効果的なプロモーション戦略を策定することなどです。また、業務プロセスのデータを分析して、効率化のための改善点を見つけ出すことも重要です。分析力は、問題解決や意思決定の精度を高めるために欠かせないスキルです。

4-5.発想力

ナレッジワーカーには、既存の枠にとらわれない新しいアイデアを生み出す発想力が求められます。創造的な思考や革新的な視点を持ち、企業に新たな価値をもたらすことが重要です。発想力を活かして、新しいビジネスモデルやサービスを提案し、企業の成長に貢献することが期待されます。

新製品のアイデアを考えたり、既存のサービスを改善するための新しいアプローチを提案したりすることなどです。発想力は、競争の激しい市場で差別化を図るために重要な能力であり、企業のイノベーションを促進する原動力となります。創造的な解決策を見つけ出し、実行に移す能力がナレッジワーカーには求められています。

5.ナレッジワーカーを育成する組織作りのポイント

ナレッジワーカーを育成するためには、組織全体での取り組みが必要です。続いては自ら学び考える機会を作る方法や、人員配置、育成方法、そしてナレッジを共有しやすい風土の整備について具体的なポイントを紹介します。

5-1.自ら学び、考える機会を作る

ナレッジワーカーを育成するためには、新しい情報を集めることや、身に付けた知識を発信する力が重要です。勉強会や講習会でのグループワークやディベートを取り入れることで、従業員が自ら考え、意見を共有する機会を増やすことができます。これにより、組織全体の知識レベルが向上し、ナレッジワーカーの成長が促進されます。

定期的な社内勉強会や外部セミナーへの参加を推奨し、従業員が自ら学ぶ機会を提供します。また、グループディスカッションや問題解決型のプロジェクトを通じて、実践的な経験を積むことが重要です。これにより、従業員は自らの知識を応用し、新しい視点やアプローチを学ぶことができます。

5-2.人員配置を適切におこなう

従業員それぞれの強みを活かした人材配置をおこなうことが重要です。情報発信が得意な人や発想力がある人など、ナレッジワーカーに求められるスキルを補えるチーム作りが必要です。また、企業内にナレッジワーカーのチームを作ることで、従業員のお手本となり、他の社員がナレッジワーカーの考え方やスキルを学びやすくなります。

例えば、プロジェクトごとにチームを編成し、各メンバーの強みを活かした役割分担をおこないます。また、メンター制度を導入し、経験豊富なナレッジワーカーが若手社員を指導することで、スキルや知識の共有が促進されます。適切な人員配置は、チーム全体のパフォーマンスを最大化するために重要です。

5-3.企業のスタイルに合う育成方法を探す

企業の規模やマネジメントの方法によって、育成方法は異なります。トップダウン型のマネジメントでは経営層が直接ナレッジワーカーの育成に取り組み、ボトムアップ型のマネジメントでは経営層がナレッジワーカーたちの環境を整え支援する役割を担います。

ミドル・アップダウン型では、マネージャーやチームリーダーが育成に取り組み、経営層が支援する形が効果的です。また、一部の従業員だけでなく、全員を育成することが大事であり、年齢や階級に関わらず育成することが求められます。

例えば、大企業では研修プログラムやリーダーシップ開発プログラムを導入し、体系的な育成をおこないます。一方、中小企業では、現場での実践を重視したオンザジョブトレーニングが効果的です。企業の特性やニーズに応じた柔軟な育成方法を採用することで、ナレッジワーカーの成長を促進します。

5-4.ナレッジを共有しやすい風土と体制を整備する

ナレッジワーカーの能力を最大限に発揮するためには、個々のナレッジを共有しやすい環境を作ることが重要です。組織力が高まり、ナレッジワーカーの能力が最大限に活かされることで、企業全体のパフォーマンスが向上します。簡単にナレッジを共有・閲覧できる環境を整えることで、ナレッジを共有する文化が広がりやすくなります。ツールやシステムを導入することで、ナレッジ共有が効果的におこなわれます。

例えば、社内のナレッジ共有プラットフォームやコラボレーションツールを導入し、情報の共有とアクセスしやすくするなどです。また、定期的な情報共有会議やクロスファンクショナルチームの活動を通じて、知識の共有を促進します。ナレッジ共有の文化を育むことで、組織全体が持つ知識とスキルを最大限に活用することができます。

6.ナレッジワーカーを育成できる組織作りに取り組みましょう

BPRの成功は、企業の生産性向上やコスト削減に直結します。まず、明確な目標設定が不可欠です。目標が具体的であればあるほど、関係者全員ナレッジワーカーの育成は、現代のビジネスにおいて不可欠な要素です。テクノロジーの発展や消費者の価値観の変化、そしてVUCA時代への対応が求められる中で、ナレッジワーカーの重要性はますます高まっています。

組織全体でナレッジワーカーを育成するための取り組みを進めることで、企業の競争力を強化し、持続可能な成長を実現することができます。ナレッジワーカーが持つスキルや知識を最大限に活かし、組織全体でのパフォーマンス向上を目指しましょう。

企業文化としてナレッジワーカーの価値を認識し、ナレッジワーカーの貢献を評価する仕組みを構築することが大切です。ナレッジワーカーが持つ知識とスキルを最大限に活用し、企業全体でのパフォーマンス向上を目指しましょう。

また、ナレッジワーカ―のナレッジ共有や標準化には、属人化、人材育成等の課題があります。その際は、ぜひTENDAのマニュアルトータルソリューションをご利用ください。業務の可視化、分析から作成、管理、活用方法の提案までマニュアル作成を総合的にサポートいたします。

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