Dojoシリーズ
Dojoコラム

クレーム対応マニュアルの基本|整備する際に抑えておきたいポイント

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビジネスを行う上で、顧客からのクレームが寄せられることは多々あります。企業側がやるべきことは、適切なクレーム対応で顧客との信頼関係を築くことです。もしも担当社員の応対が不適切だった場合、顧客ロイヤルティは低下し、結果的に組織全体の悪い評判にもつながってしまうでしょう。

そこで本記事では、クレーム対応の基礎知識や注意点に加え、マニュアルの作成方法について解説します。質の高いクレーム対応マニュアルを作成し、顧客応対の向上および均一化に役立てましょう。

1.クレーム対応の基本

クレーム対応マニュアル
まずはクレーム対応の定義と基本的な心構えをチェックしていきましょう。

1-1.クレーム対応とは

クレーム対応とは、お客様が商品やサービスに抱いた不満や困りごとに対して、適切に対処することです。クレームはお客様が期待している水準を下回った際に発生するため、企業や提供サービスの問題点を解決する機会として捉えることもできます。

なお、近年は対応の良し悪しがネット上に流れやすくなっています。迅速で適切な対応ができれば企業の信頼性が向上する一方、悪い評判が流れればビジネスに悪影響が及ぶことが考えられます。いずれにしても、企業におけるクレーム対応の質は重要といえます。

1-2.クレーム対応において大切なこと

クレーム対応では、傾聴や心情理解が大切です。つまり、お客様の話に丁寧に耳を傾け、心情を理解しようと努めることで、お客様が困っていることや本音を引き出します。また、お客様の問題を解決したい意志、お客様の味方であることが伝わる対応を心がけるのも大切です。

2.適切なクレーム対応を行うためのポイント

クレーム対応ではお客様との信頼関係を築くことが大切です。ここでは注意すべきポイントを確認していきましょう。

2-1.まずはお客様の話しをしっかりと聞く

お客様が抱える課題を把握するためには、ヒアリングに徹することが重要です。実際に起きた不具合について会話をし、お客様の立場や真意を理解しましょう。

その際、うなずきや相槌を交え、お客様に対して積極的に話を聞いている姿勢をアピールすることが大切です。お客様に寄り添い共感することで、本音を引き出しやすくなります。また、対応者が誠実に聞き取りを行うことで、お客様は自分の意見や感情が受け入れられていると感じ、安心感を抱きます。

なお、一通り話を聞いてもらうことで怒りの感情がクールダウンすることも期待できます。

2-2.解決策や代替策を伝える

お客様のご要望や状況を把握した後は、適切な解決策および代替策を提示します。その際は曖昧な策でなく、現実的な策であることが重要です。曖昧な策を実施して問題が解決しなかった場合、お客様の会社への不信感が更に大きくなってしまうからです。

もしも明確な策がわからないときは、上司や担当部署などに相談してください。実際は対応者1人だけでは処理できないケースも多いので、お客様に折り返しの電話をかける旨を伝えて一旦通話を終了するのが良いでしょう。

なお、お客様から集めた情報は社内チャットなどで共有します。別の部署から電話をかけ直す場合には、その部署にお客様の情報を共有するとスムーズです。

2-3.問い合わせに対する感謝の気持ちを伝える

クレームを寄せていただいたお客様に感謝し、直接気持ちを伝えましょう。クレーム対応ではお客様に謝罪することになりますが、同時に業務改善のヒントを与えてもらっているからです。一般的に製品やサービスに不満を感じてクレームを入れるお客様はごく一部であり、時間とエネルギーを使いクレームを寄せてくれている方々は貴重な存在なのです。

そのため、クレーム対応が終わるタイミングで謝意を表すと良いでしょう。このような前向きな姿勢を示すことで、クレームを入れたお客様がリピーターになってくれる場合もあります。

2-4.冷静さを失わないようにする

建設的な話し合いをするためには、常に平常心を保つことが重要です。お客様が感情的になっている場合にも、相手のペースにのまれないように注意してください。こちらの接客態度まで悪くなると感情的な言い合いが始まり、状況はさらに悪化します。

冷静さを保つ心構えとして、自分の人格が否定されているわけではないと考えるのが効果的です。攻撃的な口調のお客様もいますが、怒りや不満の対象は会社が提供している製品やサービスだからです。怒りには反応せず、あくまでお客様の味方として寄り添うことを意識してください。

3.クレーム対応でやってはいけないこと

NGイメージ
クレーム対応には、やってはならないNG行為があります。二次クレームが発生する原因にもなるので、以下の対応は行わないよう注意してください。

3-1.お客様の話をさえぎる

話を途中で遮ると、お客様は否定された気持ちになります。もしも「不満を理解してもらえない」「話を聞いてもらえない」と感じさせてしまうと、より攻撃的な態度になってしまう可能性があります。トラブルが生じた原因や理由を説明するのも大切ですが、まずはお客様の話を最後まで聞くことを徹底してください。

3-2.お客様を否定する

お客様側に間違いや勘違いがあったとしても、それを指摘してはいけません。反論や否定をすることでお客様を怒らせてしまい、状況が更に悪くなることがあるためです。直接の謝罪を要求されるような事態に陥ることもあるので、伝えたいことがある場合でもまずは聞き役に回りましょう。

また、お客様の気持ちを尊重し、誠意の伝わる言葉遣いや話し方を意識しましょう。例えば、お客様側の認識に齟齬があった際は、「説明不足でご迷惑をおかけいたしました」といったお声がけします。相槌の打ち方に関しても、肯定的な言い回しにしたほうが望ましいです。

3-3.お客様をお待たせする

お客様の待ち時間が長くなると、元々抱えていた不満が増幅する可能性が高いです。不満が増す場面としては以下が考えられます。

さまざまな部署をたらい回しにする

電話の保留時間が長い

仮に担当部署でなかったとしても、お客様のお話を伺った上で適切な部署につなげるようにしましょう。また、電話の保留時間が長くなりそうな場合は、折り返し電話する旨を伝えたほうが親切です。

3-4.とにかく謝罪を行う

謝罪の気持ちを示すのは大切ですが、ひたすら謝るとお客様からの信頼を失う可能性があります。なぜならば、お客様が「不満や問題を真剣に受け止めてもらえない」、「謝るばかりで解決につながらない」と感じることがあるためです。

特に悪質なクレーマーの場合、行動がエスカレートしかねません。理不尽なクレームに対して謝ってしまうと、すべて会社側の過失であると認識されるからです。自社の責任の範囲を超えた不当な要求をされる場合もあるので、毅然とした態度で対応しましょう。落ち度があれば真摯に謝るべきですが、全面的な謝罪は自社の立場を悪くします。

4.クレーム対応マニュアルを作ることの重要性

クレーム対応の質を向上させるためには、クレーム対応マニュアルを整備することが重要です。以下では、マニュアルを作成することで期待できる4つのメリットをお伝えします。

4-1.対応の統一化ができる

企業の信頼性向上には、すべての従業員が一定水準のクレーム対応スキルを持つことが不可欠です。しかし、従業員によって対応方法や品質が異なると、お客様は公平性を欠いていると感じ、企業に不信感を抱く可能性があります。そのため、クレーム対応者1人の判断に依存するのは危険であり、マニュアルの作成は必須だと言えます。

マニュアルを導入すれば、クレーム対応の品質が従業員のスキル・経験に左右されることはなくなり、一定水準を確保できるでしょう。

4-2.迅速な対応ができる

マニュアルがない場合、クレームが発生するたびに対応者はその場で適切な対処法を考えなければなりません。迅速な対応は難しく、お客様の不快感につながる可能性があります。

一方、マニュアルがあればスムーズな対応が可能になります。マニュアルにはクレーム対応の手順、社内での報告・相談方法などが網羅的に記載されているので、対応者は迷わず業務を進められるようになります。

4-3.クレーム対応の教育を効率よく行える

新入社員などに口頭でクレーム対応の教育を行う場合、教える側が作業手順やポイントを1から伝えるのに時間を要します。教えられる側もメモを取る時間が必要になるので、あまり効果的な教育体制とは言えません。また、教育担当者によって指導内容が異なると、業務の属人化が進み、将来的に会社への苦情・クレームが増加するおそれがあります。

その点、マニュアルがあれば、教えられる側は記載内容を確認するだけでクレーム対応の基本を抑えることができます。

4-4.対応者の負担を軽減できる

マニュアルが存在することで、クレーム対応が個人に委ねられず会社としての対応になります。その結果、従業員の対応に対するクレーム(ニ次クレーム)が防止され、対応者の精神的な負担が軽減されるのです。

また、マニュアルは悪質なクレーマー対応、およびカスタマーハラスメントへの対抗策としても役立ちます。不当な要求や暴言は対応者に多大なストレスを与えますが、クレーマーを撃退するための対処法が組織として確立されていれば、個人の負担は少なくなります。

わかりやすい業務マニュアルの作り方とは?作成手順とポイント

5.クレーム対応マニュアルに含めるべき内容

クレーム対応マニュアルには、組織全体で共有すべき自社の方針や具体的な対応方法を記載します。それぞれ確認していきましょう。

5-1.会社にとってのクレームの定義

先述したように、クレーム対応ではお客様のお悩みを迅速に解決することが求められます。そのためには、社内で「クレームとは何か」という定義を明確化し、従業員に把握してもらうことが重要です。

一般的な定義として、クレームの定義は以下の通りです。

会社にとって価値があること

お客様が商品やサービスに対して困っていること

お客様のクレームを解決することがクレーム対応ということを従業員に理解してもらいましょう。一次対応を誤ると深刻な事態に発展する場合があるので、全社的なクレーム対応体制を整備する必要があります。

5-2.クレームの対応手順

クレームの対応手順をマニュアル化することで、スムーズで正確な対応が可能になります。一般的な流れは、以下の4ステップです。

Step1.心情理解とご不便かけているお詫び

まずは不快な思いをさせたことを謝罪しましょう。企業側に落ち度がなくとも、お客様に不安や不満を抱かせ、お問い合わせの手間をかけているのは事実だからです。相槌やクッション言葉を用いてお客様のお話を丁寧に聞き、心情を理解することに努めてください。

ただし、この時点ではトラブルの原因が自社にあるとは判断できないため、部分的な謝罪に留めることが大切です。最初から全面的にお詫びをした場合、あとで不利な立場になりやすいだけでなく、お客様から「自分が何に怒っているのかを理解しようとしていない」と解釈される恐れもあります。

Step2.クレームの詳しい状況把握と原因追求

次にお客様の主張を基に事実関係を整理していきます。会話内容をつぶさに記録して、対応策の検討に役立てましょう。ヒアリングの際は積極的にうなずいたり、お客様の言葉を復唱したりすることで、誠実な姿勢を示すようにしてください。

なお、適切な質問や事実確認を行うには、一般常識および業務知識が必要となります。そのため、研修などを通して担当者を教育することは重要です。

Step3.解決策や代替策の提案

事実確認が済んだら、迅速に改善策を提示しましょう。その際は自社の提案を押し付けるのではなく、お客様の意向を尊重する姿勢が大切になります。

ただし、お客様の要望・要求に応えるだけでなく、対応にかかる手間を考慮することも重要です。社会通念や自社の責任の大きさを鑑みて、適切な対応を取るようにしてください。

Step4.詫びと感謝を述べる

最後にあらためてお客様にお詫びをしましょう。事実調査で自社の非が確認された場合は、一切の言い訳をせず、真摯に謝罪することが重要です。また、電話対応を終える前は対応がぞんざいになってしまう傾向があるので、電話を切るまで丁寧な対応を心がけてください。

なお、謝罪の言葉とともに感謝の意を述べることも大切です。クレームは業務改善のきっかけになるため、製品・サービスを購入していただいたことに関して、再度感謝の気持ちを伝えましょう。

6.クレーム対応マニュアルを作成するときのポイント

最後に、クレーム対応マニュアルの作成で意識すべきポイントをご紹介します。

6-1.現場の担当者がわかりやすいように作成する

クレーム対応は緊急性やイレギュラーな内容が多いことから、マニュアルは誰が見てもわかりやすい構成や内容にすることが重要です。閲覧する従業員がマニュアルの内容を正確に理解できないと、記載されている業務を遂行できないからです。マニュアルを作成した担当者以外の従業員の意見も参考にして、わかりにくい箇所があれば修正しましょう。また、読み手の理解を促すためには、以下のようなアプローチも有効です。

画像や図解などを挿入する

文章はシンプルにする

言葉で表現しにくい作業は動画にする

ただし、画像や動画を貼り付けるだけでは要点がわかりづらくなるので注意してください。文章は適切な量に抑えることが望ましいですが、必要なチェック事項や注意点は記載しておきましょう。

6-2.従業員全員に共有を行う

クレーム対応マニュアルを作成する目的は、迅速なクレーム処理および苦情対応の均質化を実現することです。また、組織の考え方や価値観をすべての従業員に理解してもらう側面もあります。

そのため、マニュアルは単に作成するだけでなく、社内で十分に周知して、クレーム発生時に活用してもらわなければなりません。マニュアルが浸透しない限り、従業員のクレーム対応にはバラつきが発生します。この問題を解消するためには、マニュアルを使ったロールプレイング研修などを実施することが効果的です。

さらに、マニュアルの共有は異なる部署からの多様なフィードバックを得ることにもつながります。マニュアルの品質を高めるためにも情報共有は徹底しましょう。

6-3.マニュアルは定期的に更新する

クレーム対応マニュアルの内容は定期的に見直してください。コールセンターには日々さまざまな問い合わせやクレームが寄せられるため、既存のフローチャートでは解決できないケースがあるからです。現場で使いやすいマニュアルにするためには、実際のクレーム事例や従業員からのフィードバックを反映することが必要となります。

また、会社の商品やサービスの情報に関しても、常に最新のものにアップデートすることが大切です。もしも記載された情報が古い場合、従業員のマニュアルに対する信頼性は低下するため、業務効率化・品質向上は望めません。

社内でマニュアルの更新頻度や管理のルールを定め、記載内容を最新に保ちましょう。

7.クレーム対応マニュアルは顧客満足度を左右する

今回は、クレーム対応の基本とマニュアルの作成方法を解説しました。クレーム対応の良し悪しは、自社に対する印象や顧客満足度を左右します。迅速で的確な対応を取れるように、本記事でご紹介したポイントを押さえつつ、クレーム対応マニュアルを作成しましょう。

マニュアル作成ツールのDojoシリーズを活用すれば、最低限の工数でわかりやすいマニュアルを作成することができます。無料トライアルもございますので、クレーム対応の品質向上にご関心があれば、お気軽にご連絡ください。

Dojoシリーズでマニュアル作成の悩みカンタン解決!

【業務改善ならDojoシリーズ。マニュアル作成の悩みをカンタン解決!資料ダウンロード】 はこちら。

自動マニュアル作成ツール『Dojo』を詳しく見る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ワークスタイル変革を力強くサポートする
マニュアル作成ツール・共有ツール
「Dojoシリーズ」

すでにマニュアル作成ツール・共有ツール
「Dojoシリーズ」をご利用の方はこちら

お問い合わせ 無料
トライアル
資料
ダウンロード
ページ
トップ