社内業務を効率化するにあたって、マニュアルを作成しておくことは大きなメリットです。ですが、作成手順や使用するフォーマットなど、重要なポイントがいくつかあります。そこで今回は、業務を効率化させたい方に向けて、有効なマニュアルを作成する際に押さえておきたいポイントを解説します。
INDEX
マニュアルを作成することによるメリット
業務を進めていく際に、その業務のマニュアルを作成しておくことで、さまざまなメリットが生じます。
業務内容を見える化できる
マニュアルを作成することにより、業務の手順を明確にできます。手順を明確にできると、業務の全体像を把握することにつながり、「どの役割を」「誰が担当し」「どう進めていくのか」が見えてくるようになります。その結果、特定の業務の内容や流れについて決まった人だけではなく、その他の社員も把握できるようになり、業務の属人化改善につながります。
それまで業務知識が個人に依存して属人化していた企業でも、マニュアルを作成することでナレッジやノウハウが共有されるようになり、業務の効率化が進んでいきます。
業務の生産性が向上する
マニュアルを作成しておけば、そのマニュアルに沿って業務を進めていくことになります。その結果、業務を進める際に迷いや疑問などが生じにくくなり、生産性の向上につながります。
新入社員を教育する際には、先輩社員が付きっきりで業務指導することがあったり、別の部門から異動してきた社員には、新しい業務をイチから教える必要があったりします。このようなことにかかる時間も、マニュアルを用意しておくことで短縮することができます。
業務を遂行する上での無駄を減少できる
業務の流れや全体像がマニュアルに記載されていることで、全体像の中で時間がかかったり無駄だったりする業務を見つけやすくなります。そのような業務を無くすように調整したり、短時間で終わるように改善したりすることで、業務を遂行する上での無駄を減らしていくことができます。
業務のクオリティを標準化できる
業務を進めるにあたってマニュアルが整備されていれば、社員はそのマニュアルを基準に業務を行います。マニュアルにより明確な基準を確立しておけば、それぞれの社員による業務方法や業務の質、業務にかかる所要時間などの差が生じづらくなります。
このように業務クオリティを標準化することで、社員全体のスキルアップにもつながります。
教育体制の整備や業務の引き継ぎの際に活用できる
マニュアルを作成しておくことで、新人教育や社員研修の際にも属人化していない業務フローを教えることができます。また、業務を引き継ぐ際にもマニュアルがあれば、無駄な時間を割くことなく正確な業務の引き継ぎが行えるようになります。
また、マニュアルが存在することによって業務の手順を理解できるようになれば、自分が担当する業務の重要性や必要性を早期に理解できるようになります。例えば、新入社員に「この作業がなぜ必要なのか」を理解してもらう際にも、マニュアルは有効です。
マニュアル作成の手順
ご紹介した通り、マニュアルを作成することでいくつものメリットが生じます。マニュアルを作成する際は、以下のような手順を踏んで作成するようにしましょう。
「誰に向けて」「どのように使ってほしいのか」を決める
マニュアルを作成するにあたってまずやることは、「誰に向けてどのように使ってほしいマニュアルなのか」を決めることです。全社員に向けたものなのか、特定の部門に向けたものなのか、新入社員に向けたものなのか。ターゲットを明確に決めておかないと、マニュアルに記載する内容の方向性も決まりません。
また、プリントアウトして紙のマニュアルとして配るのか、データで配布してパソコンのディスプレイ画面上で閲覧できるようにするのか、Web上にアップロードしてどこからでも見られるようにしておくのかなど、どんな方法でマニュアルを使ってほしいのかも同時に決めておきましょう。方法によっては、エクセル・ワード・パワーポイント・動画など、適したフォーマットが分かれます。「誰に向けて作るか(ターゲット)」と「どのように使ってほしいのか(作成方法)」を決めることが、マニュアル作成の第一歩です。
マニュアル作成のスケジュールを決める
マニュアル作成は本来の業務ではないため、後回しになっていつまでたっても完成しないことがあります。このような事態を防ぐために、マニュアル作成完了までのスケジュールを立てて作成を始めるようにしましょう。
例えば、新入社員向けのマニュアルの場合、4月入社に合わせて3月までにはマニュアルができあがっている必要があるかもしれません。そこで、マニュアル作成にかけられる時間は1日にどのくらいあるのか予定を立てておき、ここまでに完成しておきたいという日程から逆算してスケジュールを立てていくことが有効です。
マニュアルの目次と構成を決める
マニュアル作成の際に重要なのが、構成です。マニュアルの構成を決めずに書き出してしまうと、内容をまとめることが難しいだけでなく、入れなくてはいけない内容を見逃してしまう可能性が高くなってしまうからです。
構成を考える際に有効なのが、マニュアルの目次を決めることです。マニュアルの対象になる業務の流れを大まかに目次として記載し、その中に入れるべき要素を入れていきます。目次ごとに必要事項を入れていくことで、抜け漏れが発生しづらく、比較的簡単に業務の流れを押さえた構成を作成できます。
文字サイズやフォントなど、デザインを決める
マニュアル全体のデザインを統一することで、マニュアルの読みやすさを向上させることができます。文体を統一することはもちろん、文字のサイズやフォントなどを統一しておくことで、読みやすいマニュアルの作成につながります。
リリース前にマニュアルを仮運用し、改善につなげる
マニュアルが完成したら、マニュアルの対象となる部門の社員など、周囲の人間からレビューをもらうようにしましょう。そのレビューによって、「漏れている情報がある」「この情報を追加したほうが良い」「この項目は入れないほうが良い」などがフィードバックされますので、マニュアルの改善につながります。より良いマニュアルを作成するためには、マニュアルを正式に運用させる前にテストを行うことが有効だといえます。
マニュアル作成時に押さえておきたいポイント
ただ作成するだけでは有効なマニュアルをつくることは難しいです。マニュアル作成に着手していくときには、これからご紹介する7つのポイントを押さえておくようにしましょう。
マニュアルのテーマを明確にする
マニュアル作成の手順でも少し触れましたが、マニュアルを作成する際は「そのマニュアルで何を伝えたいのか」「そのマニュアルで説明したいことは何か」をハッキリさせておくことが重要です。そのためには、マニュアルのテーマを明確にしておくことが必要です。
マニュアルのテーマを明確にしておくことで、読み手にも内容が伝わりやすくなります。
読み手に合致した内容や文体にする
マニュアルを作成する際には、そのマニュアルの読み手を想定しておきましょう。全社員に向けたマニュアルなのか、新入社員向けのマニュアルなのか、ベテラン社員向けのマニュアルなのか、部課長以上の管理職向けのマニュアルなのか、など、誰に向けたマニュアルなのかが変わることによって、読み手のレベルも異なってきます。
そのため、読み手を想定して、その読み手のレベルに合致した内容や文体にすることで、齟齬が生じないマニュアルに仕上げることができます。
要点を明確に記載する
マニュアルは業務をしながら読むものです。そのため、だらだらと長く説明した文章を書いても細部までは読んでくれません。要点を明確に記載し、その業務のポイントとなるのは「何なのか」「どこなのか」を簡潔にわかりやすく解説していくようにしましょう。
その際、曖昧な表現はしないようにし、明確に言い切る形で記述していくことがポイントです。
記載されている内容を検索しやすくする
分かりやすい目次を付けたり、見出しやタイトルに明確なキーワードを付けたりすることで、マニュアルに記載されている内容を検索しやすくしましょう。記載されている内容を検索しやすくすることで、目当ての項目にたどり着きやすくなり、検索のための余計な時間を省くことにつながります。
業務の階層構造に合わせる
一般的に業務はAという手順があったとしたら、そこからBの手順へ、そしてCの手順へというように階層構造で作業を進めていきます。マニュアルで手順を記載するときには、その階層構造に合わせて記載していくことで、確認したい作業手順があったときにすぐに見つけることができます。
また、階層構造のマニュアル化しておけば最初からすべて読み返す必要がなくなるため、マニュアル確認する際にも余計な時間を取られなくなります。
図やイラストを使用し、すぐに理解しやすいものにする
文章だけで構成されたマニュアルだとわかりづらくなってしまう可能性があります。そこでマニュアルの内容をすぐに理解できるように、イラストや図などを適宜使用したマニュアルに仕上げるようにしましょう。
理解しやすいマニュアルに仕上げることで、そのマニュアルの複数の読み手から同じような質問をされ回答しなければいけない、といった無駄な時間を減らすことができ、さらなる業務効率化を期待できます。
マニュアルを作って終わりにしない
マニュアルを作成するときには、最初から完璧なものを目指す必要はありません。実際に運用しながら、「修正したほうがいいところ」「追加したいところ」などが見つかったら、適宜修正・更新していきましょう。そのためには、更新のしやすさも考慮してマニュアルを作成していく必要もあります。
マニュアル作成で使用する主なフォーマット
ここまでマニュアルの作成手順やポイントをご紹介しましたが、もう一つ重要な要素が「どのフォーマットを使用して作成したらいいのか」という点です。
マニュアルを作成する際に使用する主なフォーマットとして、エクセル・ワード・パワーポイント・動画があります。それぞれ、どんな内容のマニュアル作成に向いているのか、どのような注意点があるのかを見ていきましょう。
エクセルによるマニュアル作成に向いている内容
エクセルは関数を使用して、データを瞬時にグラフや図で表現することができます。そのため、顧客情報や売上情報、損益計算などをグラフや表などを用いて挿入するマニュアルの作成に向いています。1つのファイル内に複数のシートをセルで表示できますので、プリントアウトせずにパソコンのディスプレイ上で閲覧するマニュアルが適しています。
またエクセルは、データ集計や分類などの複雑な操作を自動で行わせるマクロ機能や、そのマクロの操作内容を記録するためのプログラミング言語「VBA(Visual Basic for Applications)」を知っているともっと便利に活用できます。
しかし、マクロやVBAを理解しているのはエクセルに長けた人だけであり、マニュアル作成がその人物だけに属人化してしまう可能性があります。さらに、エクセルは画面をタテとヨコにスクロールしていく必要があるため、1画面上で納めなければ全容が把握しにくくなるので注意が必要です。
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エクセルでマニュアルを作成するメリット・デメリットとポイント
ワードによるマニュアル作成に向いている内容
ワードはA4タテサイズで作成することが多く、基本的にパソコンのディスプレイ画面上で見える状態はプリントアウトした状態と同じです。そのため、プリントアウトして紙の状態で見ることを前提としたマニュアルの作成に向いています。
ワードはWeb上にテンプレートが用意されているので、一からレイアウトを作成しなくても、見やすいマニュアルを作成していくことが可能です。目次の自動作成ができるので、いちいち項目名を探して目次を作成する必要がありません。また、文章の校閲機能が搭載されているので、文章の誤字脱字や文法の誤りを指摘してくれるのも、マニュアル作成の際には心強い機能のひとつです。
しかし、ワードは「文書作成」に向いているツールなので、応用レベルになると直感的な操作が難しかったり、画像や図を使用する際は思った通りの場所に配置することが難しかったりする、という注意点があります。
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パワーポイントによるマニュアル作成に向いている内容
パワーポイントはページ内にアニメーションやイラスト、画像を入れたり装飾を付けたりしやすいので、視覚的・感覚的に優れた分かりやすいマニュアルの作成に向いています。ページの構成が比較的自由でグラフも挿入できるため、ファイルで配布することを前提としたマニュアルに適しています。
ただし、パワーポイントによるマニュアル作成はページ数が多くなると膨大な時間が必要となってしまいます。また、画像が増えてしまうとファイル自体が重くなってしまうため、使用する際は注意しましょう。
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動画によるマニュアル作成に向いている内容
動画を活用することで、文字や図では伝えきれない実際の動きを確認することができます。視覚的にわかりやすいマニュアルを制作できるため、機械の整備手順やデータの入力手順といった文字では把握しきれない動きを確認したい業務のマニュアル作成に向いています。
しかし、動画でマニュアルを作成するということは、マニュアルを使用したい人が動画を確認できる環境を整える必要があります。また、動画を使用する際には編集作業が不可欠という注意点があるので、動画編集に慣れていない方はマニュアル作成ツールの活用などを検討してみると良いでしょう。
ポイントを押さえることで使いやすいマニュアルを作成できる
マニュアルを作成する際には手順があり、ポイントとフォーマットごとに向いている内容を押さえることで、使いやすいマニュアルを仕上がることにつながります。
とはいえ、マニュアルを作成する際に考えるべき構成やデザインなどに関して、イチから考えるのは難しいという方も多いかと思います。そういう方にオススメなのが、特殊な知識や技能を必要としないマニュアル作成ツール「Dojo」です。「Dojo」は、動画を含め、手間のかかるマニュアルを自動作成でき、編集ファイルさえあれば、様々な形式に出力できるツールです。更新もしやすく、統一感を持った高品質なマニュアルを作成することができるので、これからマニュアルを作成しようと考えている方はぜひご検討ください。