ビジネスマナーは社会人が最低限押さえておくべき、必須のスキルです。仕事は自分一人で完結することはなく、社内、社外で多くの人と関わりながら進めていくものです。ビジネスマナーを知らないと恥をかきますし、きちんと身についていないと咄嗟の対応に苦慮し、結果としてどんなに仕事ができていてもビジネスマンとしては失格と評価されることもままあります。あなたの電話の出方一つで、会社の評価が変わる場合もあります。
この記事では、数あるビジネスマナーの中でも特に社会人がまず習得すべき、電話応対のマナーをご紹介します。
直接顔が見えない電話応対だからこそマナーが大切
電話応対は顔が見えない人とのやり取りとなり、電話で入ってくる情報は声と、話す言葉しかありません。
人は対面のコミュニケーションの中で、無意識に表情や身振り手振りなどで感情を伝えたり、読み取ったりしていますが、電話ではそういった方法は使えず、伝達情報が限られているのが大きなポイントです。
しかしながら、対面のコミュニケーションよりも伝達できる情報が少ないからと言って、重要視されていないということではありません。むしろ電話のかけ方や受け方、そして応対内容でその企業の印象は大きく変わってしまうのです。どんなに素晴らしい会社であっても、電話応対をした担当者がひどい対応をしてしまっては、会社全体に対して「感じが悪い」、「信頼出来ない」といった印象になってしまうでしょう。そして、一度悪い印象を持たれてしまうとそこから信用を回復するのは容易なことではありません。
会社で電話応対をするときには、自分が会社の顔になっているという意識と、マナーを守った正しい応対が必要なのです。
電話応対の心構え
先に挙げているように、電話は自社と取引先とを繋ぐ大切な窓口です。この為、明るくハキハキとした応対を心がけましょう。電話応対が上達するためのポイントは以下の3点です。
率先して電話応対を行うこと
特に新人のうちや、あまり電話応対に慣れていない状態のときは、なんとなく苦手意識があるので、電話に出るのを避けてしまいがちです。失敗を恐れる気持ちはよく分かりますが、電話に出ないでいるとなかなか上達もしません。周囲の人が助けてくれると信じて率先して電話応対を行うようにしましょう。
いつでもメモを取れる準備を
会社の電話は自分宛てにかかってくるとは限りません。多くは電話を受け、誰か別の社員に取り次ぐ流れになります。その際はすばやく必要事項をメモして、取り次ぎ先の人に伝える必要があります。相手の社名や部署、氏名、要件など、メモを取らないと忘れてしまう可能性がありますので、電話を受ける人はいつでもメモが取れる状態にしておくのが大切です。
意外と大切なのは姿勢や表情
電話は相手の顔が見えず、声や言葉の情報しか伝わらないと言いましたが、実は電話応対をする時の姿勢や表情は、無関係というわけではありません。もちろん電話の相手が直接目で見ることはできませんが、これらは無意識のうちに話す”声”に影響を与えます。
悪い姿勢で暗い顔をしながら話しては、自ずと声もボソボソと低く、聞き取りづらくなっていることが多いのです。トーンや速さなど声が重要になる電話だからこそ、姿勢を正し、明るい表情を心がけることをおすすめします。
そのためのツールとして、デスク上に小さな鏡を置くのも一つの工夫です。電話に出る時、ちらっと鏡をのぞいてみてください。もし、疲れたような暗い表情であれば、それがそのままお客さまに伝わっていると考えましょう。
電話を受けた時のポイント
電話応対の心構えができたところで、実際に電話を受けるときのポイントをご紹介します。いずれも社会人のビジネスマナーとして知っておくべき事項です。
電話がなったら、3コール以内に出る
3コール以内と聞くと非常に短いように感じますが、プライベートの電話に出るのとは違い、ビジネスシーンではこれがマナーとされています。もし、3コール以上鳴ってしまった場合には、「お待たせいたしました。」と冒頭に加えるようにしましょう。
電話に出たら、まず社名と名前を名乗る
まず「株式会社○○、○○(名字)でございます。」と名乗りましょう。専用ダイアルの場合は部署名なども名乗ります。普段の電話でよく使っている「もしもし」は略語であるため、ビジネス電話ではマナー違反です。うっかり使ってしまわないように注意しましょう。
電話を切るのは掛けた方、もしくは目上の方から
ビジネスマナーでは電話を切る順番も大切です。原則、電話を掛けた方から切ります。また、相手がお客さまや目上の方である場合には、相手が切ったのを確認してから、優しく受話器を置くようにしましょう。受話器を強く置いて「ガチャッ」と大きな音を出すのは、失礼にあたります。
失敗の無い方法としては、受話器をそのまま電話機に置くといった習慣を無くすことです。必ず空いている方の手で、電話機のフックを押して電話を切りましょう。もちろん受話器は耳に当てたまま、相手の方が電話を切ったことを最後まで確認してからです。
電話を掛ける時のポイント
電話を受けた時と同様に、掛ける時にもビジネスマナーがあります。メモの用意をして電話を掛けましょう。
相手が電話に出たら、まず社名と名字を名乗る
こちらも受けた時と同じく、まず自分を名乗ります。また担当の方につないでもらう際には、相手の部署と名前を伝え、取り次いでもらいます。「どういったご用件でしょうか?」と聞かれた場合は、簡潔に要件を伝えるようにしましょう。
担当の方が出たら、挨拶をして再度社名と名字を名乗る
担当の方に取り次いでもらったら、「いつもお世話になっております。○○です。」とまず挨拶をして、再度名乗ります。電話に出た相手も、もちろん仕事中ですので、すぐに終わらない要件の場合には、初めに「今お時間いただいてもよろしいでしょうか。」と一言確認することが大切です。
電話を掛けるタイミングも要注意
一般的に忙しい時間帯や休憩時間には電話を掛けないようにしましょう。具体的には、まず始業時間直後です。始業時間から1時間程度は朝礼や朝一の会議などでバタバタしていることが多いので避けた方が良いでしょう。
次に、12時~13時前後です。多くの企業はこの時間は昼休みにあたり、昼食を取っていることが多いです。担当者が不在のことも多く、場合によっては相手の貴重な休み時間を奪ってしまうことにもなりかねません。
最後は、就業時間前後です。この時間もその日の報告や業務のまとめで忙しいことが多いです。また、就業時間後はすでに退社している可能性もありますので、急用以外は避けましょう。
以上が電話を掛けるのを避けるべき時間帯です。急用などでやむを得ず掛けなければならない場合には、「朝早くから失礼いたします。」や「お昼時に恐縮です。」、「夜分に失礼いたします。」など、一言加えるようにしましょう。
電話応対のビジネスマナーを身につけるには出来る人を真似ること
ここまで電話応対のポイントや注意事項をご紹介してきましたが、なかなか文章を読むだけではビジネスマナーを身につけるのは難しいのが実情です。やはり積極的に電話応対をして、場数を踏むことが大切です。そしてポイントは、先輩や上司など出来る人の電話応対を見て、聞いて、真似ることが上達の近道になります。
これは参考にするマニュアルも同様です。
会社に入社すると、ビジネスマナーのマニュアルなどの冊子を渡されることがあるかと思いますが、紙のマニュアルを見ても内容は理解できますが、イメージがつきにくいでしょう。
ビジネスマナーの習得には、実際に先輩社員が電話応対をしている様子などが見ることができる、動画のマニュアルが適しています。自社で動画のマニュアルを持っていれば、いつでもどこでもビジネスマナーのお手本が視聴できるので、不安があるときなど事前に予習することができるでしょう。
ただ、動画のマニュアルは徐々に増えてきてはいますが、紙のマニュアルと比較して作成が難しい印象があるかと思います。そこでおすすめなのがマニュアル作成ツールの利用です。マニュアル作成ツールで高いシェアを誇る「Dojo(ドージョー)」は、紙のマニュアルはもちろんのこと、動画形式のマニュアルも簡単に作成、編集できることが特長です。
もし自社に紙のマニュアルしかなく、ビジネスマナーの習得に困っている場合には人事担当者などに動画マニュアルの配布を相談してみるのも良いでしょう。