企業教育の現場では、VR(バーチャルリアリティ)を通して実際の現場を映した仮想現実の教育利用が進んでいます。現場に出す前、向かわせなくても従業員に現場での作業に慣れさせることを可能にしました。あまり現実には体験することがないケースを想定した課題解決系の教育VRも登場し、今後も注目される研修ツールです。
デスクワーク向けにはソフトウェアの操作や、顧客対応教育、さらには、自らは体験できない作業現場の苦労や実務を擬似的に体験することで、自社の業務に精通し、適切なディレクションを行うための「問題分析やカイゼンのためのVR体験」なども増えています。
今回は、新入社員から、既存社員たちの研修にまで、広く利用できるVRトレーニングについてご紹介します。
VR研修とは
VR研修は、さまざまな職種の業務を仮想現実で行えるものです。たとえば、鉄道やバスタクシーの交通系は、事故が起きたその時のシーンをいくども再現して見せることで、有事の際に適切な行動がとれるよう仮想体験をさせます。
病院系では、実際の人体を怪我や切開した時のように見せながら適切な処置を学ばせる、などです。ほかにも、水道・ガス・電気のインフラ系。2017年秋には介護事業を行うヒューマンライフケアから、リアルな介護現場で介護スタッフとして働くVR研修の取り組みが発表されました。
出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000490.000005089.html
事故や失敗は、日頃あまり起きないもの。「いかに気づいたら良いのか」のポイントを学ぶこともそうですが、それ以前にイメージすることが難しいといわれています。その部分をVR研修で補うのです。写真や口頭での紹介以外でも、実際に目で見て時系列を追って「仮想で実感できる」ことからVRでの研修が適しています。
また、迅速性が求められる職種では、失敗事例と修正方法などをセットで学ばせて緊急事態に備えた研修を実施。多くの知識と体験をVR研修から吸収させることで、習熟のスピードも上がるでしょう。
VR研修に向いている職種
足場作業などを伴う建設業
もとより危険が多く、人の身体感覚や長年身についたワザを使う業種では、さまざまなシミュレーターやVRと連携したシステムが多く存在します。
たとえば、レンタルで調達することも多い大型重機の操作パネルや、それに合わせた機械の動きなどVRで体験することが可能に。溶接作業も種類や素材に応じたVR型シミュレーターがあり、酸素量や素材加工に伴う経験と事故の予測など安全教育に役立てることも可能です。
また、現場のリスクとして普段使い慣れないものや重量、形状などで予測しない動きをした場合を体験させるリスク対策系のシミュレーションも行われています。
商品開発・接客サービス
製品開発やユーザーに合わせたサービス開発にVR研修を導入するのもひとつ。サービス提供者側が障碍者や子供、高齢者といった社会的弱者である顧客の視点をVRで体験するのです。作業する手や足、見え方といった特性を負荷として加えて体験すれば、商品の設計前分析やサービス提供に関する対策など会社にフィードバックすることができます。また、自分にはない視点を体験できる研修として大変貴重でしょう。
製造、生産系のみならず、デパートや駅、公共設備などのサービス利用者を想定した見え方、使用感の違いを体験することで、その後個々が提供するサービスに還元され顧客にコミットする形でサービス向上が期待出来ます。
VR導入事例「ゲーム感覚」で覚える
ゲーム感覚で楽しく学べれば、初期から後期の品質向上に向けてのトレーニングも、積極的に取り組んでもらえ、かつ記憶に残りやすくなります。
ケンタッキーフライドチキンでは、既存の調理研修プログラム「Chicken Mastery Certification」を補完して、詳細なeラーニングとKFCの各キッチンでの調理実習を組み込んだVR研修を行わせると発表しました、
出典元
日本語:http://www.moguravr.com/kfc-vr/
英語版:https://vrscout.com/news/kfc-vr-job-training-simulator-new-employees/
チキンの揚げ方をVRで体験させることで、現場での即戦力が期待されます。人手不足や時間帯の忙しさでゆっくり教えることが難しいなか、こうした取り組みでオペレーションの負担も減るのではないでしょうか。
VR研修でよりリアルな体験を
さまざまな職種の業務に対して、習熟、リスク対応をサポートし、製品やサービスの構想、利用者還元を目標とした分析も行えるなど幅広い利用ができるVR研修。口頭では伝えにくい、イメージしにくい業務の共有が同じ映像で行えることは、社員の認識レベルを統一し、習熟のスピードを上げ、オペレーションの手間を減らすことにつながるでしょう。海外でも積極的に導入されているVR研修で会社を変えてみてはいかがでしょうか。
そして、VRで現場に関する研修を行う一方でデスクワークに伴うシステムの使い方に関する研修も忘れてはいけません。マニュアル制作ツールなどを使って、効率的な研修ができるようにしましょう。
マニュアル作成やシステムの疑似体験など、教育に関する準備は「Dojo(ドージョー)」がおすすめです。Dojoを活用すれば、ゼロからのマニュアル作成や更新時の編集作業に手間がかかりません。また、eラーニングコンテンツやシミュレーションコンテンツの作成ができ、システムの疑似体験をすることが可能です。現場への配属前や後の研修、操作マニュアル作成など、会社の教育関連や業務の共有などをサポートします。