業務効率化や生産性向上のために新しいシステムを導入することがあるかと思いますが、その目的を達成するためにはシステムが持つ機能を最大限に活用し、社員全員が使いこなせるようになることが必要です。そのような状態を実現するために、近年では「デジタルアダプション」というコンセプトが大きく注目されています。
そこで今回は、デジタルアダプションの概要に加えて、システムを使いやすくするデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)を導入するメリットや活用方法などを解説します。
INDEX
デジタルアダプションとは
デジタルアダプション(Digital Adoption)とは、導入したシステムが企業内で定着している状態のことを指します。例えば、会計システムや在庫管理システム、購買管理システムなどといったシステムを社内の誰もがスムーズに使えるようになると、導入したソフトウェアが本来持っている機能を最大限に活用することができます。このような状態を社内で作り出すことで、生産性の向上や属人化解消につながるため、デジタルアダプションが大きく注目されています。
デジタルアダプションが求められている背景
デジタルアダプションが求められている背景のひとつとして、「日本の企業においてDX化が進んでいないこと」が挙げられます。
経済産業省では、2018年9月に「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」という報告書を公表しています。そこでは、2025年までに多くのシステムがサポートを終了してしまうため、メンテナンスコストが高騰すると記載されています。
レガシーシステムを刷新するだけで良いかというと、決してそうではありません。新しいシステムを導入したとしても、それを使いこなせなければDXの実現にはつながりません。このような背景があり、誰もがシステムをスムーズに取り扱える状態となるデジタルアダプションを進めていくことが求められています。
デジタルアダプションを進めるメリット
デジタルアダプションによって導入したシステムを企業内で誰もが使いこなせられるようになれば、業務効率化が期待できます。業務を効率化することによって残業の削減や生産性の向上も見込めます。
また、自宅や外出先でのリモートワークができるシステムを導入して誰もが使いこなせるようになると、柔軟な働き方が実現できます。デジタルアダプションを進めることは、働き方改革にもつながるのです。
デジタルアダプションプラットフォームとは
デジタルアダプションを推進していくためのツールのことは、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)と呼ばれています。
システムを誰でもスムーズに使いこなせる状態にするには、そのシステムのマニュアルを読んで使い方を理解していったり、試行錯誤していきながら学んでいったりしても実現できるかもしれません。ですが、その場合は社員それぞれのITリテラシーによって理解度に違いがあったり、多くの時間をとられてしまうといった可能性があります。近年は新しい技術やビジネス手法が数多く登場していますが、その使い方をいちいちマニュアルを読んで覚えないといけないとなると、社員たちも疲れてしまいます。
このような課題を解消するために、システムのソフトウェアやWebサイトなどを使いやすくするように設計されているツールであるDAPが注目されているのです。
デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)を導入することで得られるメリット
DAPを導入することで、さまざまなメリットが得られます。
システム定着化までのコストを削減できる
新しいシステムを導入した時は、利用する社員向けにマニュアルを作成したり、講師を呼んで新しいシステムについての研修を行ったりすることがあります。もちろん、これらの方法も有効ではありますが、マニュアルを作成するための人的リソースや講師を呼ぶためのコストがかかってしまいます。
DAPを導入することで、マニュアル作成や研修に関してのコストを最小限に抑えながらも、社員それぞれがスムーズに使用できる環境を整えることができます。
システム導入の本来の目的を果たせる
新しいシステムの導入する目的として、「業務効率化」や「生産性向上」を挙げる方が多いかと思います。しかし、新しいシステムを導入してもシステムの操作に迷ったり、システムを使うために毎回マニュアルを確認する状況になってしまうと、新しいシステムを導入した目的を果たすことができません。
DAPを導入することで、システム使用時の無駄をなくすことができるので、業務効率化や生産性向上など、システム導入に関する本来の目的を達成できるようになります。
デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の活用例
例えば、システムのソフトウェアやWebサイトなどを使いやすくして業務効率化を達成するためには、マニュアルを作成することが必要です。その際にマニュアルを自動作成してくれるツールが活躍するときがありますが、このようなツールはDAPのひとつだといえます。
システムを操作しているときに、画面上にポップアップされ使い方を参照できるナビゲーション付きマニュアルであれば、ITリテラシーが高くない社員でも戸惑うことなくシステムを操作することができるでしょう。
デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)導入時に注意したいこと
DAPを導入するときには、以下の内容に注意して導入を決めましょう。
対象範囲を明確にしておく
自社の業務のどの部分にDAPを導入するのかを明確にしておきます。現在自社が使用しているシステムに対してDAPが使用可能かどうかもあらかじめチェックしておくことで、導入した後のミスマッチを防ぐことができます。
ベンダーのサポート体制が整っているかどうか確認しておく
DAPを導入する際には、スペックだけではなくサポート体制も重要です。
DAPの導入には、どうしても疑問点が生じる場合があります。ベンダーがサポート体制を整えていると、そのような疑問点をスムーズに解決できます。もし、ベンダーのサポート体制が整っていないと、せっかく導入してもうまく機能しなくなってしまう可能性があるので、事前に確認しておきましょう。
日々の業務をスムーズにするデジタルアダプション
導入したシステムが企業内で定着する状態であるデジタルアダプション。これを推進するためにのツールであるDAPの導入は、日々の業務をスムーズに進めるために有効な手段です。例えば、システムを操作するだけでナビゲーションを簡単に作成・配信管理ができる、システムとマニュアルが一体化したシステム操作ナビゲーション「Dojoナビ」もデDAPのひとつだといえます。業務効率化・生産性向上のために、デジタルアダプションを検討してみてはいかがでしょうか。