DojoとDojoウェブマニュアルで教育基盤を整備し、デジタルトレーニングを実施。人材育成、インバウンド需要対応などを通じ、より高いホスピタリティ提供の実現へ

リーガロイヤルホテル(大阪)を中心に13のホテルを運営する株式会社ロイヤルホテル様に、DojoとDojoウェブマニュアルを導入した経緯と今後の展開などについて話を伺いました。

会社・部門概要

お客様や社内に新たな価値を提供するDXを推進

大阪政財界の「賓客のための近代的ホテルを大阪に」という要望から、1935年にリーガロイヤルホテルの前身「新大阪ホテル」が誕生しました。1990年に名称を「リーガロイヤルホテルグループ」とし、現在は日本各地とグアムに13のホテルを展開。国賓をはじめ国内外のお客様をお迎えし、常に感動と満足の追求を主軸としたホテル経営を行ってきました。
DX推進室はDXを活用した新しい価値創造と業務の変革を目的とし、2023年12月に情報システム部門であるITシステム部内に新設された部門です。とくに2024年6月発表の中期経営計画で掲げている「オペレーションDX」「マネジメントDX」「ヒューマンリソースDX」の3つは、DX推進室に課せられた重要な
ミッションとなります。具体的には、フロント業務を効率化する新たなPMS(Proper ty Management System︓ホテル管理システム)の検討や、AI やBI(Business Intelligence)ツール、MA(Marketing Automation)ツールなどの導入を主管する役目を担っていきます。

ホテル運営の課題

マニュアル作成・管理が負担に

当社では生産性の向上によってお客様とスタッフの接点を増やし、お客様の体験価値を高める活動として「お客様体験価値向上プロジェクト」を推進しており、運営するホテル毎に経営層も参加してのミーティングを毎月1度開催、進捗報告やさまざまな議論を行っています。そのなかで、「マニュアル作成が大きな負担になっている」という声が多数上がっていました。マニュアル作成の課題は4つあり、1つ目は必要な種類の多さです。ホテルはバックヤードの業務手順マニュアルに加え、接客マニュアルも必要不可欠なため、自然と数が多くなります。ITシステム部だけでも100種類以上のマニュアルがありますから、マニュアル作成が現場の大きな負担になっていることは我々も認識していました。
2つ目は属人化です。マニュアル作成は現場のリーダーや、WordやPowerPointといったコンピュータスキルを持つスタッフが担当することが多く、属人化してしまう傾向が否めません。また、マニュアル作成担当のスタッフが異動した場合、マニュアル作成のノウハウが引き継がれることはなく、内容や体裁が変わってしまう課題もありました。
3つ目はマニュアルの管理です。自主的に業務を推進する企業文化などにより、各部門・各ホテルが独自にマニュアルを作成し、管理もそれぞれが行っていました。とくに管理は煩雑になりがちで、「マニュアルの原本が分からない」「複数のバージョンがある」「マニュアルの体裁が統一されていない」といったことが起きていました。
4つ目は外国人従業員向けのマニュアルです。人手不足やインバウンドに対応するため、ホテル業界全体において積極的に外国人従業員を雇用しています。当社の場合、日本語が堪能な外国人従業員を雇用していますが、それぞれの母国語のマニュアルは用意していないため、細かなニュアンスが伝わっているか不安がありました。

Dojoとの出会い

Dojoでマニュアルの課題を解決

DX推進室は、DXにつながるソリューションをキャッチアップするのも大きな役割。その業務を遂行するため、当社のインフラ全般を保守していただいているNECネッツエスアイさん主催のホテルITフェア(大阪 2024年2月6~7日開催)に足を運びました。そこで、テンダさんのDojoに出会いました。テンダさんの話を伺い、Dojoは「当社のマニュアル問題を解決する重要なソリューションになるのではないか」と感じ、後日、あらためてテンダさんから機能について詳しく伺う機会を持ちました。DojoおよびDojoウェブマニュアルが当社の活用イメージと合致したため、2024年3月に当社へ導入を決定しました。
Dojoはマニュアル作成の作業を簡略化し、統一化できるところがポイント。WordやPowerPointでマニュアルを作成する場合、画面をキャプチャーし操作のコメントを書くという作業を何ページも繰り返す必要があるため、かなりの負担がありました。その点、Dojoは操作画面を自動でキャプチャーし、さらにコメントスペースも作成してくれますから、大幅な時間短縮と作業負担の軽減が期待できます。Dojoで用意されているデザインを活用すれば、マニュアル作成のフローも統一化することが可能。前述した1つ目と2つ目の課題を解決できると考えました。
Dojoウェブマニュアルは接客や立ち振る舞いなど、現場ならではの部分を紙ではなく動画でレクチャーできるのが秀逸。スマートフォンだけで操作できるところも魅力でした。しかも、言語を切り替えるだけで英語や中国語などに翻訳した動画で視覚的に伝えることが可能。これにより、外国人従業員の理解度が向上すれば、4つ目の課題も解決できると思いました。

Dojoの展開と期待

マニュアルを共有フォルダで一元管理

実際に導入したのはDojoが2ライセンス、Dojoウェブマニュアルが250ライセンスです。現在は3 つ目の課題を解決すべく、Microsoft 365のSharePointでマニュアルを一元管理する仕組みを構築しているフェーズです。Dojoに関してはナレッジを貯めている段階です。まずは、テンダさんが開催するDojoの操作講習会に、ITシステム部全員が参加させていただくことになると思います。Dojoのオペレーションはそれほど難しくないため、今のところ社内の操作講習会開催は考えていません。テンダさんが開催する操作講習会は録画して配信できると伺っていますから、どうしても詳しく知りたいと考えるスタッフには、その録画を参照してもらう形を考えています。

SharePoint形式で共有を訴求

Dojoは動的マニュアルをSharePoint形式に出力できると伺っています。わざわざダウンロードする必要がなく、SharePoint上で再生できるということなので、非常に期待しています。この機能を積極的に利用すれば、「マニュアルをSharePointに集約し、一元管理する」ことを訴求できるのではないかと考えています。
また、Dojoウェブマニュアルには生成AIの機能が用意されています(ブラウザ版のみ)。
まだ本格的に利用したことはありませんが、マニュアルのタイトルや希望ステップ数、概要を入力するだけで、例えば、「荷物の預かり方と返却手順」といったマニュアルのベースを作成することができるとのこと。100点満点ではないにしても、ベースのマニュアルを自動で作成できれば、作成時間は大幅に短縮できます。ぜひ、生成AIも積極的に活用していきたいですね。

DXを活用したホテル事業のバリューアップ

冒頭で申し上げたDXの取り組みは、単にIT技術を活用した業務効率化が目的ではありません。ホテルの原点である「あたたかいおもてなし」「美味しい料理」「心地よい空間」の実現と向上のため、「デジタル技術をいかに活用し、お客様や社内に新たな価値を提供するか」を課題として、中長期的に変革を継続することが目的です。その意味では、Dojoの導入もホテルDXの取り組みのひとつなのは間違いありません。教育基盤を整備してデジタルトレーニングを行い、DX人材の育成を通じた業務効率化から得られる時間を、本来の業務やお客様と関わる時間に注ぎたいと考えています。