システム運用は、企業活動を行う上で欠かせない要素です。顧客管理や在庫確認、資産管理、備品管理など、多くの企業がシステムを導入しています。しかし、システムを円滑に稼働させるためには、システム運用の内容を把握することが大切です。また、業務効率化を図るためには、システム運用方法の見直しが有効な手段のひとつとなっています。
そこで本記事では、システム運用の種類とシステム運用方法を「オンプレミス型」「クラウド型」にする場合のメリット・デメリットを紹介します。「システム運用・保守の違いがわからない」「システム運用の見直しを検討している」という場合は、ぜひ参考にしてください。
1.システム運用とは?
システム運用とは、企業に導入されているシステムが問題なく稼働するように日々実施する運用管理業務を指します。具体的には、サーバの起動や停止、アプリケーションの操作、データのバックアップ、システムの監視作業などを行います。システム運用の主な目的は、システムの安定的な稼働を実現することです。
ここからは、システム運用の種類や保守作業との違いを解説します。
1-1.運用管理は主に3種類
システム運用は「ネットワーク管理」「システム管理」「業務運用管理」の3種類に分けることができます。
ネットワーク管理とシステム管理が実際のシステムに対応する仕事、業務運用管理は両者の進行状況の確認やサポートを行う仕事です。
- ◆ネットワーク管理
- ネットワーク管理は、社内で使用しているネットワークを管理する業務です。主にセキュリティ管理とネットワークの障害対策を実施します。ネットワークの不正アクセスや個人情報の流出を防ぐ大切な業務です。
- ◆システム管理
- システム管理では、社内のシステムが正常に稼働するようにサポートします。サーバなどを管理する基本運用をはじめ、バックアップ対応やシステム内の資産の記録・管理が主な業務です。
- ◆業務運用管理
- 業務運用管理では、システム運用の業務に関わる管理を実施します。ジョブやバックアップのスケジュール管理、システムのユーザ情報の登録・管理を行い、システムを円滑に運用できるようサポートします。
1-2.システム保守との違い
システム保守の主な業務は、故障など何らかの原因でシステムが停止した際の障害対応です。
システム運用との大きな違いは、システム保守ではシステム自体を修正する必要がある点だと言えます。
システム保守の業務内容には、下記の種類があります。
- システム障害への対応
- システムのアップデート業務
- 新規システムやプログラムの導入
システムで予期しない障害が発生した場合、障害の原因を突き止めることが重要です。システム障害の原因を特定し、解決へ導くためには、システムに関する高度な知識が欠かせません。システム保守の担当者は、シスコ技術者認定を取得しているなど、システムについて深い造詣を持つ人にしましょう。
一方で、システム運用で重要となるスキルは、コミュニケーション能力です。安定したシステム運用を実現するためには、システムを使用している社員の要望を汲み取り、システム運用に反映させる必要があります。基本情報技術者の資格を有しており、コミュニケーション能力のある人をシステム運用に抜擢するとよいでしょう。
1-3.運用と保守は兼任可能
システム運用とシステム保守は、担当する仕事内容は違いますが、兼任させることも可能です。通常時はシステムの運用状況を管理させ、トラブル時には復旧作業に従事させるなど、双方の業務を任せることができます。
ただし、システム運用と保守を兼任させる際に注意したいのは、通常の運用業務と非常時の保守業務を、1人のエンジニアが同時に対処できないことです。イレギュラーなトラブルに対応するためには、平時からの準備が必要となります。システム運用のスケジュールに余裕を持たせる、緊急時における業務の優先順位や手順書を用意するなど、対応策を準備しておきましょう。
2.システム運用の方法
システム運用の方法として、「オンプレミス型」と「クラウド型」に大きく分けることができます。ここからは、双方の特徴について解説していきます。
2-1.オンプレミス型
「オンプレミス型」とは、サーバやソフトウェアなどの情報システムを、ユーザ担当者が管理できる施設の構内に機器を設置して運用することを指します。「自社運用」とも呼ばれることもあり、ネットワークやサーバなどすべてのシステムが自社運用で完結しているのが特徴です。
また、データセンタでハウジングする場合もオンプレミス型と呼ばれます。「ハウジング」とは、ネットワーク機器を設置する場所(データセンタ)内のスペースを借りて、運用することを指します。自社内でサーバーを置くスペースを確保できなくても、セキュリティや電源設備に関しての心配が無いことが特徴です。
2-2.オンプレミス型のメリット
ユーザ担当者が管理できる施設内に機器を設置するオンプレミス型を導入すると、以下のようなメリットがあります。
カスタマイズ範囲が広い
オンプレミス型でシステムの構築する場合、すべて自社が手がけることになります。そのため、自社の特性に合わせてシステムをカスタマイズしやすく、自由度が高いの範囲という点が最大のメリットです。
「サーバ構築に使用するOSはどれにするか?」「どのソフトウェアを使用するか?」「システムを運用するためにはどのようなインフラにしようか?」など、どの製品をどのように使用するかは、企業側が自由に選択できます。仮に、システム運用を始めた後に不具合や変更したい点が出てきた場合は、社内で適宜修正やカスタマイズを行うことができます。メンテナンスの作業日程もサーバ担当者の都合に合わせて自由に決められるため、業務内容に合わせたシステムを構築したいと考えている方は大きなメリットだといえます。
既存システムとの連携がしやすい
オンプレミス型の場合、すでに社内で使用している別のシステムと連携しやすい点も大きなメリットです。既存システムとの連携には専門知識が必要なためシステムエンジニアなど専門家の協力を仰ぐことになりますが、従業員が慣れているシステムをそのまま活用することができます。
また、システムを新しく追加する際にも、オンプレミス型なら連携がしやすいシステムを選んで追加していくことが可能です。
2-3.オンプレミス型のデメリット
自社に合わせて自由にカスタマイズしやすいというオンプレミス型ですが、以下のようなデメリットもあります。オンプレミス型のシステムを導入しようと考えている方は、チェックしておきましょう。
コストがかかる
オンプレミス型においてのデメリットは、なんといってもコストです。オンプレミス型では、システムのすべてを自社で購入して構築していく必要があります。そのため、サーバやネットワークの構築やシステムの開発、サーバーの保守費用、人件費、光熱費などを合わせると数百万円単位にも上ることもあります。
また、自社でシステムを構築・運用するためには、システムに関する専門知識も必要です。該当するメンバーが社内にいない場合は新たにシステムエンジニアを雇用する、人材を育成する、外部の企業に依頼するといった対応をしなければなりません。
本格的に稼働するまで時間がかかる
オンプレミス型では、金銭面だけでなく時間のコストもかかります。例えば、システムを運用するまでには「要件定義→設計→テスト運用→修正点の洗い出し→本格運用」といった段階を踏みます。そのため、システムを導入するまでに多大な時間がかかることも珍しくありません。
不具合が発生した場合、自分たちで対処する必要がある
オンプレミス型は、自社でシステムを構築・運用できます。ですが、裏を返せば「システムの不具合はすべて自社で対処する必要がある」ということです。
例えば、ネットワークや機器の障害、情報セキュリティ上のトラブル、地震などの災害による機器の破損など、システムに不具合が起きる場面は多岐にわたります。トラブル対応には多大な時間と労力がかかってしまうこともオンプレミス型のデメリットなので、万が一の場合に備えてシステムエンジニアなどの専門家を雇用・育成するといった対応が必要となるでしょう。
2-4.クラウド型
「クラウド型」とは、離れた場所にあるシステムの「本体(物理的なサーバやソフトウェアなど)」から、インターネットなどのネットワークを介してサービスを提供する形態を指しています。
クラウド型の場合、自社でITインフラを用意しなくてもシステム運用ができることで、現在はインターネット技術の向上とともに多くの企業で利用されています。
2-5.クラウド型のメリット
クラウド型は、オンプレミス型とは違うメリットがあります。
コストが抑えられる
システム運用をクラウド化する最大のメリットは、コストを抑えられることです。
社内でシステムを所有するオンプレミス型では、サーバやソフトウェアのライセンス、通信回線などに、数百万円以上の初期費用がかかります。
一方、クラウドサービスを利用すれば、自社でシステムを開発する必要がありません。クラウドサービスの中には初期費用0円のところもあるため、初期費用にかかるコストを大幅に削減できます。
また、自社でシステムを運用する必要がなくなることから、システム運用にかかる人件費も抑えられるでしょう。
好きな場所から利用できる
システム運用をクラウド化した場合、インターネットに接続できる環境であれば、営業先・カフェ・自宅など、さまざまな場所でシステムを利用できます。在宅勤務の方を多く採用している企業であれば、大きなメリットを得られるでしょう。
仮に社屋が災害に遭ったとしても、システムをクラウド化していれば、簡単に復旧を目指せます。クラウドサービスの中には、ディザスタリカバリ(災害復旧)として機器を複数ヵ所に分散させているところも存在します。全国各地に機器を分散しているクラウドサービスであれば、企業の所在する地域一帯を襲う大災害が発生した際でもシステムを利用可能です。
セキュリティ環境が整っている
システム運用をクラウド化するメリットの3つめは、セキュリティ環境が整備されていることです。現在、自社だけで万全なセキュリティ環境を構築することは難しくなっています。厳格なセキュリティ体制を整えているクラウドサービスを利用することで、セキュリティの負担を軽減することが可能です。
ただし、いつどこから企業の機密情報が漏洩するかわかりません。そのため、クラウドサービスのセキュリティを活用するとともに、企業側でもセキュリティ対策を講じましょう。
2-6.クラウド型のデメリット
クラウド型にはコストを抑えて運用できたり場所を選ばずに利用できるといったメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットが存在します。クラウド型のシステムを導入する前に把握しておくことをオススメします。
自社システムとの連携が難しい場合がある
クラウド型は既存のオンプレミス型システムとは連携が難しい場合があります。その場合は、今まで使用していたシステムから大きく転換し、クラウド型のシステムに合わせた業務フローを構築しなければならない可能性があります。
ですが、最近では、オンプレミス型とクラウド型を併用できるハイブリッドクラウドも登場してきています。そのため、導入しようと考えているシステムがどのようなものなのかをしっかり把握しておくことが必要です。
カスタマイズが制限される可能性がある
利用するクラウドサービスによって、サーバOSやソフトウェア、サーバ機器などはカスタマイズ範囲が制限される可能性があります。
ですが、IaaS(Infrastructure as a Service/イアース)と呼ばれるクラウドサービスであれば、CPUやストレージ、メモリなどを自由に選択でき、スケールアップにも柔軟なので、SaaS(Software as a Service/サース)と呼ばれるクラウドサービスと比べればカスタマイズの範囲は広くなります。
クラウドベンダーに依存してしまう
システムをクラウド型で運用している場合、システムの連携をしやすくするために単一のクラウドベンダーに自社の環境を依存することがあります。
しかし、そのクラウドベンダーが利用料金の値上げをするといったときにはそれに従わなければいけません。またどのクラウドベンダーも民間企業ですので、最悪の場合にはサービス提供を終了する場合もあります。
このような場合、単一のクラウドベンダーに依存しているときには企業の存続にも関わってきます。
このような状況は「クラウドロックイン」と呼ばれており、近年、問題となっています。
3.システム運用はナビゲーションツール「Dojoナビ」にお任せ!
システム運用では、実際のシステム管理に限らず、システムを利用する社員への操作研修や説明会も重要です。ERPなどの大型システムを新たに導入する際は、一人ひとりの社員に操作方法を周知する必要があります。
ナビゲーションツール「Dojoナビ(ドージョーナビ)」を導入すれば、社員への操作研修や説明会は不要です。Dojoナビは社員のシステム習熟度や仕事内容に応じて、画面上でナビゲーションやチュートリアルを実施します。
わからない操作方法があれば、画面上で即座に調べられるため、システム運用者が自ら説明する必要はありません。
Dojoナビを活用することで、社内教育にかかる手間を省けるため、本来の業務にリソースを集中させることができるでしょう。
また、業務改善に伴うシステム変更の際は、「Dojo」を利用して操作手順説明書などを自動で作成することが可能です。
円滑なシステム運用を実現したい場合は、ナビゲーションツール「Dojoナビ」の利用をおすすめします。
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まとめ
「システム運用」と一口に言っても、ネットワーク管理・システム管理・業務運用管理という種類があります。システムの修正作業も担うシステム保守とは仕事内容が少し異なりますが、システム運用とシステム保守を兼用させることは可能です。運用・保守それぞれの仕事内容に合わせて、必要なスキルを持つ人材を配置しましょう。
また、システム運用をクラウド化すれば、初期費用にかかるコストを抑えられるだけでなく、出先でもシステムを利用できます。新しいシステムを導入する際は、ナビゲーションツール「Dojoナビ」を検討してみてください。社員教育の手間を削減することで、より効率的なシステム運用が実現するでしょう。